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軽井沢新聞 > ニュース 最新号 > 2014 No.129
軽井沢新聞 ニュース

交通網ストップ、観測史上最高の積雪99cm

「記録的な大雪」を振り返る

「記録的な大雪」を振り返る
軽井沢18号バイパスに立ち往生した車が連なる。
(2月17日14時、鳥井原交差点付近)
 軽井沢で2月14日7時から降り出した雪は15日11時、1925年の統計開始から最も多い99cmの積雪を記録した。上信越道が通行止めとなり、国道18号軽井沢バイパスには、町内だけで402台の自動車が身動きが取れなくなり立ち往生した。
 長野県と町で協議し15日21時48分に、自衛隊の派遣を要請。翌16日6時から自衛隊員による浅間サンライン、軽井沢バイパスの除雪が始まり、18日4時半に国道18号軽井沢バイパスが全面通行可能となった。
主要道路に車の列、車中で3泊
 軽井沢パイパス沿いの日本料理の「大嶋」前にも立ち往生した車の列ができた。避難所が開設されるまで15、16日の2日間、同店は2升の釜で5回米を炊き、計300個のおにぎりを作った。立ち往生した車の窓を叩いて、配って回ると「どの人も憔悴しきっていたけど、喜んでくれて断る人はいなかった」と店主は話した。
 トラック運転手の塩尻市の男性は上信越道が通行止めになったため、一般道路で納品先の埼玉県を目指した。国道18号軽井沢バイパス南ヶ丘付近で、15日1時頃から車の流れが止まり動かなくなった。朝になって1km離れたコンビニまで歩いて食料品を購入。16日は塩沢公民館の炊き出しを利用した。搬入先から「夜中でもいいから届けてほしい」と依頼されていたため、いつ動き出してもいいよう、暖房を入れたトラック内で3泊した。

「記録的な大雪」を振り返る
道路の除雪を行う自衛隊員。
(2月17日15時半18号バイパス南ヶ丘付近)
「肝心な情報が届いてこない」と不安に
 ツルヤ軽井沢店は15日、軽井沢や御代田在住の歩いて出勤できるスタッフ8人で、いつもより3時間遅れ12時に開店。「食のライフラインを断ってはいけない」と、ある限り商品を販売し、レジは一つだけ開けた。リュックを背負って歩いて買い出しに来た近隣住民や、トイレを利用する立ち往生した車の運転手らが来店。15日から17日まで仕入れは一切無かったが、国道18号が通行可能になった18日からは東御共配センターから商品が入りだし、19日は通常の7~8割、20日には10割近くまで戻った。
 避難所として開放された鳥井原公民館で16日、日赤奉仕団や区民らが行った炊き出しを、立ち往生した車の運転手ら約150人が利用。56人が一夜を過ごした。鳥井原交差点付近で立ち往生したバスに乗車していた旅行会社の添乗員は「温かい食事を頂き、近くのペンションでお風呂に入れてもらい、地元の方に助けられた」と感謝する一方「いつ道が通れるようになるかとか、肝心な情報が避難所に届いてこない」と不安の声も聞こえた。

初めて経験する積雪量

そのとき、町の人たちは

初めて経験する積雪量雪の重みで倒壊したパイプハウス。
(2月24日発地地区)
 軽井沢町社会福祉協議会は2月20日、木もれ陽の里に町災害ボランティアセンターを立ち上げ、防災無線や町のホームページでボランティア募集を呼びかけた。23日までにのべ82人が活動し、高齢者世帯を優先に雪かきなどの要請のあった36件に対応した。ボランティア参加者には「雪を見て人を見ずにならないよう、住んでいる方への声かけもお願いした」とボランティアコーディネーターを務める土屋慎一さん。今回の雪害を振り返り「一人暮らしの高齢者を隣近所で気遣いあったり、地域の結束の強さを実感できた」。
 軽井沢警察署によると、町内で2月14日から25日に起きた交通事故は36件で、そのうち積もった雪のスリップが原因で起きた人身事故は1件、物損事故は8件。15日から17日は「雪で外に出られなかったこともあり、事件事故はほぼなかった」と黒澤喜憲次長。
 長野県農政部がまとめた地域別の農業被害状況によると、軽井沢町で倒壊が確認されているパイプハウスは2月28日時点で159棟に上る。軽井沢高原いちごを栽培する軽井沢ガーデンファームは、雪の重みにより10棟のハウスが全壊し、外気に触れたいちごが凍って、今季の分の出荷は出来なくなった。次に建てるハウスは柱の数を増やし、雪がたまりやすい部分には、温水を流して雪を溶かす工夫も施すという。解体費や復旧費などの行政からの補助について、栽培責任者の寺尾和也さんは「今はまだ様子を見ている段階」と話した。

SNSで大雪情報を共有

グループ登録1,200人

SNSで大雪情報を共有SNSで町内各地の道路状況が報告された。
(2月18日万平通り入口)
 家の周りの除雪に追われ、外出できない中、情報を集める手段として、インターネット上で交流を深めるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用した人は多かった。
 中でもフェイスブック上で2月16日夜に立ち上がった「軽井沢の大雪対策情報シェアグループ」は、2月25日時点で1191人が登録。除雪のボランティアを必要としている人からの書き込みや、町内各所の道路状況などが写真付きで紹介された。
 グループを立ち上げた森和成さんに話を聞いた。
---立ち上げたきっかけは?
 私自身、阪神・淡路大震災、東日本大震災のいずれも経験しているので、行政等の公式的なものだけでは、情報の量、スピードに限界があると認識していました。それぞれの人の目の前の情報が共有されれば、「自分がどう動くか?」意思決定に必要な判断材料としての情報が手に入り、不安の軽減にも繋がると思いました。

---シェアグループが、どのような役割を果たしたと感じていますか?
 道路、食料、燃料などに関するリアルタイムでの情報共有、雪かきのノウハウなどの知恵の共有。人の助けが必要なSOSの書き込みが入り、有志でレスキューチームを発足し、ライフラインの確保、病院へ搬送したケースもありました。

---同じような災害があったときのために、SNSの課題を挙げるとしたら?
 パソコンやスマートフォンなどの情報インフラを活用できていない人と、いかに情報の共有を図るか。今回は近所の方で、特に年配の方には一声かける動きをシェアグループの中で起こしました。SOS情報が公表されると、個人情報が特定されるリスクもあるかもしれません。

ドキュメント

軽井沢と大雪1週間

2月14日(金)
雪が降り始める。(7:00)
上信越道富岡IC~信濃町ICの通行止め開始。(18:30)

2月15日(土)
長野新幹線は終日運休。
国道18号碓氷バイパスが通行止め。(0:30)
浅間サンラインが通行止め。(1:00)
観測史上最高の積雪99cmを記録。(11:00)
軽井沢町に災害対策本部が立ち上がる。(11:30)
軽井沢町の求めで、長野県が陸上自衛隊に派遣要請。(21:48)

2月16日(日)
県が茅野市、富士見町、軽井沢町に災害救助法の適用を決定。
長野新幹線が運転を再開するも、軽井沢より北で除雪が難航し、昼頃から夕方まで上下線ともストップ。
自衛隊による浅間サンラインの本格的な除雪が始まる。(6:00)
国道18号小諸市平原~群馬県境が全面通行止め。(11:40)
浅間サンラインの通行止め解除。自衛隊は国道18号の除雪へ。(15:00)
主要道路から近い三ツ石・追分・鳥井原・塩沢・成沢の各公民館に避難所を開所。炊き出しを行う。(午後)

2月17日(月)
陸上自衛隊に撤収要請(18:15)
上信越道松井田妙義IC~佐久ICの通行止め解除。(22:30)

2月18日(火)

しなの鉄道小諸~軽井沢間が通常運行を再開。 国道18号小諸市平原~群馬県境が全面通行可能に。(4:30)
町内5カ所の避難所を閉所。(15:00)

2月20日(木)
町内3小学校、中学校が開校。
木もれ陽の里に軽井沢町災害ボランティアセンターを開設。

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