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軽井沢新聞 > ピープル 最新号 > 2013 No.123
軽井沢新聞 ピープル 軽井沢人物語

動物に囲まれて、森暮らし20年 鷹狩りの技術でフクロウなどをリハビリ

小説家・鷹匠 波多野 鷹さん

小説家・鷹匠 波多野 鷹さん小説家・鷹匠
波多野 鷹さん
 動物との暮らしに憧れ、東京から軽井沢町千ヶ滝に移り住んで20数年。犬、猫、熱帯魚をはじめ、オオタカにハヤブサ、リクガメなど、10種ほどの動物に囲まれて暮らしている。それでも、以前よりは動物の種類も減り「ペットとして所有したい、という気持ちは薄れてきました」と波多野さん。
 「森の中に暮らしていると、野生動物でも顔なじみができるわけですよ。今年はツミという鳥が家の近くに巣を作ったんです。朝早くからひな鳥が『餌くれ、餌くれ』と、親鳥に鳴いて催促していて、それを聞いているだけで楽しくて。自分の家の犬が幸せそうな顔をしているのを見るのと、近い感覚ですね」
 家の周辺でも、軽井沢の自然の変化を肌で感じ、その移ろいの早さに驚いている。
 「木が育って森が深くなったこともあり、以前は多くいたリスが減り、ムササビが増えたように感じます。一時期、屋根裏にも住み着いていて、ドタドタドタと明け方に歩く音が聞こえるので、帰ってきたとわかるんです」
 生まれも育ちも東京。自然や動物と触れ合う機会は少なかったが 「アリの巣の前でしゃがんで、じっと観察しているような子どもでした」。
 ライオンの孤児をひきとって野生に帰す実話を描いたイギリス映画『野生のエルザ』を見て、アフリカの狩猟監視官に憧れた。怪我を負って保護された猛禽類のリハビリに、日本の伝統的な鷹狩りの技術が役立つと知り、元宮内省鷹匠の故花見薫氏に師事し、鷹匠の資格を取得。動物園で、餌や飼育方法について情報提供したり、怪我をしたフクロウなどを預かってトレーニングし、野生に復帰させる活動も行っている。
 本業は物書き。1985年にコバルト・ノベル大賞を受賞し、高校3年生で小説家デビュー。その後もライトノベルを多く発表し、テレビドラマやゲームのノベライズも手がけた。近年は猛禽類を中心とした動物の専門書を多く執筆。次は、動物全般のトレーニングに関する本を書くため、準備を進めている。
 「褒めたり、叱ったりする行為は、動物にとってどういうことなのか。それぞれの動物が喜ぶご褒美などについてもまとめたいですね」
 今年46歳。「しょっちゅうイノシシが出るので」と、作家の久美沙織夫人と犬と、小学生の娘さんをバス停まで送り迎えするのが日課だ。
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