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軽井沢新聞 スペシャル 軽井沢が見える万華鏡

軽井沢が見える万華鏡 No.12

Kaleidoscope

 早いもので、また、今年もクリスマスの季節が近づいてきました。
 軽井沢のクリスマスイベントは、今では冬の定番としてテレビでも紹介され、多くの観光客が訪れるようになりましたが、実は軽井沢のクリスマスがこれだけポピュラーになったのは、意外にもそう古くからのことではないのです。
 軽井沢のクリスマスは本来、宣教師さんたちが厳かに教会礼拝を行うだけの簡素なものでした。夏には観光客が押し寄せるようになった1975年頃でも、観光客・別荘客が冬の軽井沢に訪れることは少なく、クリスマスもお正月もひっそりとしていました。もちろん、旧軽銀座も軽井沢駅前もイルミネーションはありません。唯一あったのは、鹿島ノ森に輝くツリーのイルミネーション。雪の夜、木々に囲まれ煌めいているクリスマスツリーは、ファンタジックな雰囲気に包まれていました。やがて軽井沢にペンションブームが起ると、ペンションでのクリスマスパーティーが盛んになり、ホテルのディナーショーや国際クリスマスパーティーも恒例となりました。
 町ぐるみのイベント『クリスマスタウン』(現在の名称は『ウィンターフェスティバル』)が行われるようになったのは、1993年頃、旧軽井沢の商店の奥さんたち数人が旧軽ロータリーをきれいにしたいと、クリスマスツリーを飾ったのがきっかけでした。旧軽銀座では針金のハンガーを星型にしてイルミネーションを作ったり、手作りのリースを飾ったりして、ヨーロッパのクリスマスのような雰囲気を出しました。やがて、イベント会社が参入し、商工会や観光協会も加わる町ぐるみのイベントとなっていったのです。
 30年の間、ほぼ毎回、軽井沢のクリスマスを取材してきましたが、雪に覆われた樅の木、教会の礼拝、クリスマスを祝う宣教師さんたち…など、軽井沢ではクリスマス風景のどれもが「軽井沢」にぴったりはまっていました。
 雪の夜、林の向こうにほのかに光るクリスマスツリーの輝き、そんな軽井沢の素朴な風景は軽井沢の原点につながっているように思います。

(広川小夜子 軽井沢新聞編集長)
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