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軽井沢新聞 > スペシャル 最新号 > スペシャル 140号(2015年2月)
軽井沢新聞 スペシャル

知っているようで知らない町のこと。調べてみてわかったこと。

『軽井沢町自然保護審議会』って何?

[編集局より]
11月号に掲載した南軽井沢メガソーラーの写真に
関して、自然保護審議会から「どこが計画地か
わからない曖昧な写真」という指摘がありました
ので、場所を入れた写真を掲載します。
白線で囲んだ所が、緑に覆われた約3万坪の敷地。
(写真提供:しいある倶楽部)
南軽井沢のメガソーラー計画の問題でクローズアップされた軽井沢自然保護審議会。「そういう審議会があるとは知らなかった」「初めて聞いた。もっと内容を知りたい」など、「自然保護」の「審議会」についての関心が町民の間で高まっている。
軽井沢町自然保護審議会とは

 軽井沢自然保護対策要綱が作られた翌年、自然保護対策会議(町役場職員で構成)とともに設立された。その内容は…。
1、作られたのはいつ?
 昭和48年6月18日、地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき設置された。
2、その目的は?
 軽井沢町の自然環境の保全に必要な事項を調査審議するため、町長の諮問に応じて調査審議し、その結果を町長に報告、または意見を述べる。
3、委員はどんな人?
 委員は20人。同審議会条例(平成20年に改正)によれば、町議会議員、知識経験者、関係官公庁の職員の中から町長が委嘱することになっている。
 現在の委員は町議会議員が4名。関係官公庁の職員として、東信森林管理者、佐久地方事務所、佐久建設事務所、佐久保健福祉事務所から各1名。この他、軽井沢町の教育委員会、観光協会、商工会、農業委員会、区長会、不動産協会、野生植物関係団体、自然公園指導員、農業協同組合、まちづくりNPO団体、別荘団体、長野県建築士会の各1名が知識経験者として選ばれている。
4、委員の任期は?
 任期は2年とされているが、同じ人が長年務めている場合もある。
(スペースの関係で同条例の一部を省略。詳細は軽井沢町生活環境課へ)

委員はどのように決める?

 町役場生活環境課へ尋ねると、「町長が委員を委嘱する」と答える。しかし、実際はすべての選出を現町長がしたわけではない。取材をしてみると、現町長が自ら選んだ人はほとんどいないことがわかった。
 委員になった人の話では、各団体や役場担当者の中で選んで挙がってきた人物を町長が承認、また、町議会議員の場合は他の委員会との兼ね合いで選出することが多いという。生活環境課は個人情報だからと名前はいっさい明かさないが、プロとしての自然環境や自然保護の専門家はいない。

別荘住民は一人だけ

 自然保護対策要綱は第1種低層住居地域(保養地)に関することが多く書かれ、自然保護審議会で取り上げる問題も別荘地に関することが多い。しかし、1年前までは、審議委員に別荘住民は一人もいなかった。
「軽井沢まちづくり基本条例」(軽井沢のまちづくりに関する条例の最高規範。平成19年施行)では、「別荘所有者も町民と同様、軽井沢の住民である」と述べている。にもかかわらず、自然保護審議会の委員に別荘住民がいないのはおかしい、と別荘団体連合会が町長に申し入れ、今年度(平成26年度)から軽井沢会の代表者1名が委員となった。軽井沢は日本有数の別荘地であり、別荘地として120余年の歴史がある。別荘住民は軽井沢の自然環境に関しての関心が高く、町民より戸数も人口も多い。町への納税に貢献していることを考えれば、もっと委員を増やすべきだという声も聞かれる。

もっと専門委員の活用を

 自然保護審議会での特筆すべきことは、審議会に専門委員や部会を置くことができること。南軽井沢の太陽光発電の問題では、ソーラーパネルを敷く影響について、環境調査のために専門委員を置くこともできたのである。しかし、長く務めている委員に聞いてみると、今まで専門委員を置いた記憶はないという。「専門委員の会を設けることができるなんて知らなかった」という委員もいた。
「審議会の運営についての必要事項は町長が定める」となっており、本来、町長はもっと力を発揮できる立場にあるはずなのだ。

諮問機関というが

 「同審議会は諮問機関であり、決定するという場ではない」と委員は言う。しかし、南軽井沢のメガソーラーのように、審議会の決定がそのまま認定となることもある。生活環境課は審議会で賛成が決まると「協議が整った」という言い方をするが、言い方はどうあれ、事実上は認可する形となり工事が始められていく。メガソーラーの問題では町長が「審議会の意思を尊重する」と述べ、ゴーサインが出された。

自然保護審議会の原点は

 同審議会は町の要(かなめ)となる「軽井沢自然保護対策要綱」を支える機関のひとつであり、強い影響力を持っている。美しい空気、水、そこに生息する動植物との共存、120年以上愛されてきた避暑リゾートを次世代へ続けるためにも「自然の保全」を原点に審議しなければならない。私たち住民も、委員がこの原点を基本として、正しい姿勢で審議しているか注視することが大切だ。
(広川小夜子)
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