軽井沢彫りの新たなスタイルを模索
最後の講習で作品披露
「軽井沢彫りの家具とインテリアの講習会」を開いてきた軽井沢彫製造販売組合は3月7日、最後のまとめとなる講評会を開いた。軽井沢彫りの特製を生かした新製品の開発などを目的に、昨年10月より全9回で講習会は行われ、軽井沢彫り家具を扱う大坂屋家具店、一彫堂、シバザキから20〜40代の9人の職人が参加。室内建築やインテリアのデザインを専門とする大学教授ら4人が交替で講師を務め、職人は家具とインテリアの歴史、軽井沢彫りを活かした空間デザイン、実寸大の図面の作製の仕方などについて学んだ。経費には長野県の地域産業ブランド化支援事業と軽井沢町の補助金を充てた。
講習最終日となったこの日は、職人それぞれが講習期間中に製作した作品を展示。一人ずつが4人の講師の前で作品について解説しアドバイスを受けた。本棚とイスを組み合わせた「本棚チェアー」、「サテライト(人口衛星)」と名付けた楕円形の5つの引き出しが縦に重なった家具など、従来の軽井沢彫りには無いデザインの作品が並んだ。
講習会に参加した大坂屋家具店の職人丸山文治さんは、北欧の家具をイメージし、座ったときの心地よさと形の美しさを重視したイスをデザイン。「普段の仕事では注文を受けた物を製作するのが中心だが、今回は講師の方から専門的な意見を聞きながら自分の理想の作品を追求できた」と講習を振り返った。
講師を務めた武蔵野美術大学寺原芳彦教授は、「軽井沢彫りの伝統を大事に押さえながら、少しずつ変化が見えてきた。今後の軽井沢彫りにさらに期待したい」と総評を述べた
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