軽井沢では旧三笠ホテル以来43年ぶり レーモンド「夏の家」国重文に
チェコ生まれのアメリカ人建築家アントニン・レーモンド(1888〜1976)が夏の別荘兼設計スタジオとして1933年に建てた「軽井沢夏の家」が9月25日付けで、正式に国の重要文化財に指定された。町内では80年の旧三笠ホテル以来、43年ぶり2例目の指定となる。
建物は37年に売却され所有者が移り変ったのち、塩沢遊園が86年に譲り受け塩沢湖畔に移築。木造地上1階建てで、一部ロフトがある。左右両サイドが高いV字形の屋根で、多くの光を室内に取り込めるよう設計している。
通常時レイモン・ペイネの美術館として使っているが、重文指定を受け同園は11月23日まで、ペイネ作品を施設内の朝吹山荘「睡鳩荘」に移動。いつもは閉め切っている雨戸などを開放し、もともとあったテーブルやチェアも設置。建物の変遷や移築の経緯などをパネルで紹介。解体したときの初出写真も展示している。
ペイネ美術館館長の藤巻傑さんによると、今回のように建物自体を見てもらう企画は約10年ぶり。「普段とは違う、開放感のある姿を楽しんでほしい」と話した。関連イベントとして10月22日に「藤森照信が語る『夏の家』」、29日に「軽井沢別荘史に見るレーモンド建築」(講師内田青蔵氏)を開催する。
1階リビング。ロフトにつづくスロープは、屋根の形状に沿うように設計されている。