築130年の旧ウイン別荘、外部に初公開「まさにロストテクノロジー」

 軽井沢町内の歴史的な別荘をガイドとともに巡る「別荘ウォッチング」(主催:軽井沢文化遺産保存会)が108日にあり、旧ウイン別荘(旧片山廣子別荘)が初めて外部に公開された。町内の歴史的建造物の保存・継承に関心を持ってもらおうと企画した。

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 別荘はアメリカ人宣教師トーマス・クレイ・ウインが1892(明治25)年に建築。A.C.ショーが軽井沢に第一号別荘を建てた4年後にあたり、当時の姿で現存する別荘としては最古級だという。軽井沢の初期の別荘によく見られる杉皮張りの外壁で、石積みの暖炉からは土管を積み上げた煙突がのびる。大正期にはアイルランド文学翻訳家の片山廣子が暮らし、芥川龍之介や堀辰雄も訪れた。現所有者が自費で補修を重ねながら建物を維持している。

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 所有者の許可を得て、保存会の木下裕章さんが内部を案内。1階の約20畳のリビングルームや、堀が宿泊した2階の寝室などを約20人が順番に見学。もともと女中部屋だった1階の台所は梁見せ天井で、柱には向かない曲がった木材をほぞ組みしている。木下さんは「洋風別荘と言っても日本の建築文化そのもの。もし壊してしまったら、二度ともとに戻らないのではまさにロストテクノロジー」と説明。

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 各部屋の天井や壁に残る穴を塞いだあと(写真左上)については「もともと夏専用の別荘だったが、戦中は疎開先になり、冬も暮らせるよう各部屋にストーブを置き煙突を通したのではないか」と推測した。

 見学した追分の60代女性は「木造建築を100年以上保存するのは大変。大切にされている気持ちが伝わってきた」。中軽井沢の70代女性は「町の財産でもあるので、修理費の一部を助成するなどバックアップする制度があるといい」と話していた。

 この日は他に、軽井沢集会堂や旧ポール・ジャクレー邸、旧ロミッシー邸なども外から見学した。

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