「川端康成別荘、町の考えは」全員協議会で質問相次ぐ
8月26日の軽井沢町議会9月会議、本会議終了後の全員協議会で、ノーベル文学賞作家川端康成(1899-1972年)の旧別荘について、議員から町の考えを尋ねる質問が相次いだ。
同別荘は既に遺族の手を離れ、購入した所有者が解体の意向を示している。これを受け、軽井沢文化遺産保存会、軽井沢ナショナルトラストなど6団体は連名で8月6日、軽井沢町議会議長に保存を求める請願書を提出。採択するかどうか、社会常任委員会での審議を経て9月会議で表決する。審議に入る前に、議員が町の姿勢を問うた形だ。
考えを尋ねられた町長は「行政が残さないといけない建物があるとすればほんのわずか。(中略)川端康成の一つの足跡が、町として残せるなら残したい考えはある」と、所有者の理解を得た上で保存を検討する意志を示した。また、現地での保存は難しいとし、「見やすい場所へ移築することも考えられる」と見解を述べた。
これまで町が購入した旧スイス公使館、八田別荘、桝形の茶屋など、文化財事業の評価について問われると「活用しなければならないという課題はあるが、保存すべき最小限をきちっと守っている」と町長。
コロナ禍で経済的にも厳しい状況の中、「文化事業に予算を割くのはどうか」という意見も町には寄せられていると言い、町長は「できるだけコンパクトに、町の施設はお金がかからないよう、スリムにしないといけない現実もある」と揺れる胸のうちを明かした。
軽井沢町議会9月会議は8月26日から9月16日まで行われる。
川端康成の旧別荘(2016年10月撮影)