クマと人間の共存へ、2代目ベアドッグ2頭をピッキオが導入
別荘地に現れたクマの追い払いなどを行うベアドッグ(クマ対策犬)2頭が10月8日夜、アメリカ・モンタナ州のベアドッグ育成機関「Wind River Bear Institute」から軽井沢のNPO法人ピッキオのもとに到着した。9日、ピッキオビジターセンターで発表会があり、2頭は長旅の疲れを感じさせない元気な姿を見せた。
2頭は兄弟でメスの「タマ」とオスの「ナヌック」。2004年から2013年まで軽井沢で活動した初代ベアドッグ「ブレット」は大叔父にあたる。タマが繊細でスマート、匂いを嗅ぎ取るのが得意で、ナヌックは落ちついた性格で大きな吠え声だという。
タマのハンドラー(飼育師兼訓練士)はピッキオクマ対策チームの田中純平さん、ナヌックは同じく大嶋元さんが務める。2頭と生活をともにし、クマの匂いの嗅ぎ分けや、より人に慣れるための訓練を施す。クマの追い払いや探索などの実務は来春から行う。現在、ピッキオが発信器をつけて追っているクマは軽井沢町周辺に30頭いるという。
ブレットのハンドラーでもあった田中さんは「ブレットが嫉妬するくらい、タマとより親密な関係を築きながら育てて行きたい。人間もハンドラーも、次の世代に繋いで行けるような役目も果たせたら」。大嶋さんは「新しい子どもができたよう。わくわくしていると同時にかなり戸惑いもある」と思いを口にした。
2頭とともに来日した「Wind River Bear Institute」代表のキャリー・ハントさんは「軽井沢の地で、アジア初のベアドッグを使ったクマとの共存の仕組みができたことは誇りにしていいと思う。ブレットが築いたことをさらに引き継いでいってほしい」と話した。
(左下写真:キャリー・ハントさんをはさんで左が田中さん、右が大嶋さん。犬は左がタマ、右がナヌック)