佐久地区の若手建築士、吉村順三建築ハーモニーハウス見学
長野県建築士会佐久支部青年・女性委員会は5月25日、建築家の吉村順三(1908~97年)が設計した南ヶ丘の保養施設「ハーモニーハウス」の見学会を開いた。参加した7人の委員は、写真を撮ったり、スケッチをするなどして、建物の細部まで見入っていた。
ハーモニーハウスは1983年、アメリカ人音楽教育家エロイーズ・カニングハムさん(1899~2000年)の依頼で、吉村さんが設計。現在はカニングハムさんが設立した一般社団法人青少年音楽協会が所有している。近年は老朽化が進んだことで利用者が減り、青少年音楽協会が建物の新たな活用法を模索。この4月から、軽井沢総合研究所が施設の食堂だった部分を改装し朝食メニュー中心のカフェ(EROISE's Cafe)を開いている。
建物は木造2階建てで、建築面積は約434㎡。宿泊室4部屋のほか、音楽の練習やコンサートをするために作られたラウンジとホールなどを備える。内部の壁はベニヤ合板で、ラウンジ東側には階段の代わりに緩やかなスロープを設置。屋根部分は浅間火山の砂利が敷かれ苔が覆っている。
この日、委員はハーモニーハウスとともに、同じ敷地内にあるカニングハムさんの別荘も見学。その後の意見交換会では「建てて完成ではなく、20年、30年後をイメージし劣化のことも考えて作られている」「デザインと使いやすさの両方を追求していて、勉強になる部分が沢山ある」など、感想を述べ合った。
また、建物の老朽化により、軽井沢の歴史ある別荘が取り壊されるケースが増えていることにも話題が及んだ。「住宅以外の目的でも、建物を活用し収益を上げながら保存していく方法を探るのも今後の課題だと思う」という意見もあった。