「町指定文化財、追加指定を早急に」大久保さん講演
軽井沢町の歴史を調査、研究するグループ「軽井沢史友会」が10月16日に開いた勉強会で、軽井沢町文化財専門委員の大久保保さんが講演した。大久保さんは、町指定文化財にふさわしい建造物や史跡などが、町内に80~100件あるとし「追加指定を早急に行うべき」と力を込めた。
軽井沢町文化財保護条例は、町教育委員会が文化財審議委員会の意見を聞いた上で、記念物などを町指定文化財に指定できると定めている。町内には茂沢の南石堂遺跡、馬取の石仏群など15件の町指定文化財があるが、1986年に油井の「おう穴」が指定されて以来、28年間増えていない。
文化財審議委員会は知識経験者ら7人。大久保さん自身も同委員の一人だが、「『追加指定を増やすべき』と提案しても、取り上げられないのが現状。機能していない」と明かした。また、町指定文化財はいずれも江戸時代以前のもので、避暑地としての歴史が始まった明治期以降のものがないと指摘。「指定がされていたら、滅失を防げたかもしれないものも幾つかある」と話した。
町教育委員会によると、文化財審議委員会は1年に2回開く。近年は、既に指定してある文化財の問題点などについて意見を交わす場となっていて、追加指定については議論されてこなかった。27年間、町指定文化財が増えていない理由について、町教育委員会文化振興係は「担当が変わるので、これまでのことはわからない」とした上で、「これからは追加指定を進める方向で動いている。指定をするからには、文化財の価値を見極めながら慎重に行いたい」と話していた。