創立から20年「軽井沢ナショナルトラスト」 発足メンバーらが座談会
軽井沢の自然・景観や歴史遺産の保全に取り組む「軽井沢ナショナルトラスト」が10月25日、軽井沢タリアセン「レストラン湖水」で、創立20周年を記念するパーティーを開いた。発足メンバーによる座談会などがあり、会員ら約50人が交流を深めた。
同団体は軽井沢郵便局の現地保存を目指し運動を展開した「別荘建築等保存調査会」が発展し、1994年10月に発足。古い建物を巡る「別荘ウォッチング」や講演会などを通じ、歴史的建築物の調査研究、啓発活動を進めてきた。2012年には、長年使われていなかった旧軽井沢の「亜武巣山荘」の所有者に改修を持ち掛け、保存につなげるなど活動した。
座談会には発足メンバー4人のうち藤巻進軽井沢町長、中島松樹名誉会長、大久保保会長の3人に、松岡温彦副会長を加えた4人が参加。これまでの歩みや活動の方向性について語り合った。
中島名誉会長は「出発点は4人だったが、多くの人のサポートがあって続けられた」と感謝を口にした。藤巻町長は発足当初を振り返り「当時は古い別荘に価値はないという見方が多かった。今では多くの人の間に『残さなくてはいけない』という意識が広まり、嬉しく思っている」と語った。
歴史的建築物の保存について、大久保会長は「町指定文化財に登録して、保存するのが確実」。藤巻町長は「川越市や小樽市のように有効利用しながら残していくのがベスト」と考えを示した。軽井沢の場合、歴史的な建物の多くが閑静な別荘地にあるため「人が集まると環境が壊れるという悩みがある」と、問題点についても述べた。一方で、松岡さんは「単に建物だけを保存するのではなく、仲間とどう過ごしたか、どういう生活がされてきたか、調べて伝えていくことも大事」と話した。
座談会後の交流会には、『軽井沢ナショナルトラスト』と同名のエールビールを販売し、1本につき1円の売上を同団体に寄付しているヤッホーブルーイングの担当者も参加。「軽井沢ナショナルトラスト」はこれまでの寄付金で、『ショーさん物語』(2005年)、『軽井沢外国人墓地』(2007年)などの書籍を発行している。