ピーターラビットを生んだビアトリクス・ポターについて 吉田新一さん講演
軽井沢絵本の森美術館は10月26日、児童文学研究者で立教大学名誉教授の吉田新一さんの講演を同館で開いた。ピーターラビットシリーズで知られる1900年代初頭のイギリスの絵本作家ビアトリクス・ポターの作品をスライドで紹介し、絵本に隠された秘密や作者の側面に迫った。20人が聴講に訪れた。
ポターが1907年に発表した『こねこのトムのおはなし』には、お母さん猫が、息子のトムに服を着せるシーンが描かれている。吉田さんは「ファンタジーの中にも日常の何気ない一コマをはさむことで、人間世界のリアリティーを持たせている」と説明。
また、どの作品でも、悪さをした主人公を叱ったり非難するシーンを描いていないことから「ポターは、表向きは子どものためになる道徳話にみえて、実は不道徳話に近い作品を書いている。反抗することで、得られるものもあることを伝えたかったのでは」と話した。
講演を聞きに埼玉県から友人3人と訪れた近藤幸子さんは「軽井沢の自然の中で先生の話が聞けるのは幸せ。毎回新たな発見があるので次に開催するときも来たい」と話していた。