築95年の「アームストロング別荘」 修繕終え、約40年ぶりに利用再開

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 約40年間使われぬままだった旧軽井沢の「アームストロング別荘」の利用再開を祝い、同別荘を所有するアームストロング青葉幼稚園(富山県)と、別荘の修繕を持ちかけ施工業者などを紹介した「軽井沢ナショナルトラスト」が10月26日、関係者を集めた「ハウスウォームアップパーティー」を同別荘で開いた。40年ぶりに火が入れられた暖炉の前には、再開を喜ぶ笑顔が並んだ。

 別荘は1920年頃、建築家のヴォーリズが設計し建設。3階建てで板張りの壁、丸太材がむき出しになった天井、ゴロタ石を積んだ暖炉からは土管煙突が伸びる。1935年に婦人宣教師のアームストロングが取得し、夏の山荘として利用を始める。1960年にアームストロングが逝去したあとは、彼女が創立した青葉幼稚園が譲り受け、スタッフの研修などに使った。その後は「あさま山荘事件の後から使わなくなったと聞いている」と、2006年より同園理事長を務める奥原望さん。

 幼稚園が創立から100年を迎えた2011年、軽井沢ナショナルトラスト会員の、花里俊廣筑波大学教授が同園に連絡をとり、別荘の今後について話し合ったことで事態が進展。昨年、軽井沢を訪れ、初めて同別荘を前にした奥原さんは「自然の中に佇む姿がチャーミングで、この場所でこのまま保存しようとその場で決心した」。
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 軽井沢ナショナルトラストが設計者と施工業者を紹介。今年5月から7月にかけ、傷みが激しかった一階部分を重点的に修理した。外壁部分など、まだ修繕が済んでいない部分については、徐々に改修を進める。

 花里教授によると、軽井沢の戦前の別荘建築は、老朽化に伴いこの10年で急激に減り、現存するのは170棟ほど。「危機的状況の中で、修復して利用して頂けるのはありがたい」。奥原さんは「感無量です。北陸新幹線が開業したら、富山と軽井沢の子どもたちの交流の拠点としても利用したい」と話していた。

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