軽井沢でも増えるニホンジカ被害 課題は?対策の方法は?

 軽井沢町は2月15日、「ニホンジカの植生(生態系)への影響」をテーマに、専門家4人によるトークセッション形式の講演会を開いた。軽井沢でもシカによる森林などへの被害が報告されていることから、環境課が初めて企画。約30人が聴講した。

2503_topics_sika.JPG

 町環境課野生鳥獣対策専門員の小山克さんは、シカは栄養状態によっては2歳から出産でき「爆発的に増えやすい動物」と紹介。同課植物学専門員の蛭間啓さんは、昨年調査した入山峠や矢ケ崎山で撮影した写真を提示。シカが葉を食べてしまい、林の地上から2m以下が遠くまで見通せる様子を示した。植生保護には柵の設置が効果的とし「今のうちに設置できれば、まだ回復の見込みがある」とした。長野県環境保全研究所の尾関雅章さんは、高山植物の保護のため全長約15kmにわたり電気柵を設置した霧ケ峰高原の事例を挙げ「種の多様性が守られ、湿原環境の回復効果が得られた」と紹介。町猟友会の菊地哲也さんは、シカの捕獲頭数が減っていることについて、猟友会員の高齢化による活動低下や、人の気配に敏感な「スレジカ」の増加を挙げた。被害の写真を示し「標高1300m以上のスレジカの捕獲が急務」と語った。

関連記事