満洲で犠牲になった人を悼む 大日向で終戦記念日に慰霊祭
戦前に旧満州(中国東北部)へ移り住み、戦後に引き揚げてきた開拓団関係者らでつくる大日向振興会は8月15日、大日向公民館に立つ慰霊碑「開拓之礎」前で慰霊祭を行った。お経が唱えられる中、25人の参列者が焼香するなどして、敗戦後の逃避行で犠牲になった人たちを悼んだ。
慰霊祭は同会が「開拓之礎」を建立した1964年から毎年、終戦記念日に行い61回目。開拓団の一員で、同会会長の市川渥夫さんによると、敗戦後に764人いた団員のうち374人が栄養失調や感染症により死亡。市川さんも、父と2人の姉を亡くしている。難民生活では馬のエサにしていた雑穀コーリャンを食べ飢えをしのいだという。市川さんは世界では今も戦争により多くの命が失われているとし「平和な世界を願って、この慰霊祭を続けていきたい」と話した。
慰霊碑に向かい、追悼の意を表す市川会長。