旧近衛文麿別荘の蓄音機、修復完了 100年前の音色が響く

 軽井沢町所有の旧近衛文麿別荘(市村記念館)に展示している蓄音機の修理完了を記念した「レコード鑑賞会」が6月23日、離山公園内の雨宮邸新座敷で開かれた。修理にも協力した、予備校講師でSPレコードコレクターの三浦武さんが蓄音機について解説し、所有のレコードの中からヴァイオリンソロを中心に流した。約35人が参加し、20世紀前半に録音された音色に聴き入った。

 蓄音機は、近衛文麿のあとに同別荘を所有した、政治学者の市村今朝蔵、きよじ夫妻の旧蔵品。夫妻没後の1997年、別荘の寄贈に合わせ、家具や調度品も遺族から町が譲り受けた。三浦さんによると、蓄音機は1920~21年のアメリカ・ビクター製で、主に学校などで使われていたタイプだという。昨年、軽井沢ナショナルトラスト会長の柴崎雅寿さんを通じ、三浦さんが蓄音機を確認すると、ラッパ部分など外側は問題なかったが「中のモーターがスムーズに回っていなかった」。摩耗していた部品もあり、業者に頼んで交換してもらった。

 自身もSPレコードを収集しているという、新軽井沢の40代男性は「旧近衛文麿別荘を訪れるたびに動くといいと思っていたので、楽しみにしていた。初めて聞く音源ばかりで感動している」と話した。秋に第2回目の「レコード鑑賞会」開催を予定している。

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蓄音機について説明する三浦さん。修理した蓄音機(右)と、三浦さん所有の電気録音方式が開発されたあとの蓄音機(左)で音の違いを楽しんだ。

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