長野市の手話通訳士が講演 「聴覚障がい者は情報を求めている」

 講演会や交流会を通じ、手話や聴覚障がいについて学ぶ「手話軽っと」(主催:手話言語普及協議会)が4月20日、町中央公民館であり、長野市の手話通訳士、武居みささんが講演した。町内外から約60人が訪れた。

 武居さんは、生まれつき耳が聞こえない1歳上の兄に誘われ、18歳で手話を習い始め、5年後に国家資格の手話通訳士の資格を取得。それまでは口話や筆談が、兄との意思疎通の中心だった。「聴覚障がい者は些細なことでも情報を求めている。手話ができなくても、表情や身ぶり、口話、筆談でもいい。体当たりでコミュニケーションしてほしい」と呼びかけた。

 また、外耳から中耳にかけての障がいによる伝音性難聴と、内耳から聴神経などの障がいによる感音性難聴の聞こえの違いについても説明。伝音性は音が小さく聞こえるのに対し、感音性は子音が聞こえづらくなり「『おかあさん』は『お・あ・あ』のように聞こえる」。

 欧米の多くの国では40dB(普通の話し声がやっと聞き取れる程度)以上で補聴器の公的補助があるのに対し、日本は70dB(黒電話の音が聞こえる程度)以上でないと、聴覚障がい者として認められないと武居さん。「静かな部屋なら会話が成り立つが、それ以外だと人の声が聞こえづらく、苦しんでいる人はとても多い」と話した。

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聴覚障がいについて話す武居さん(右)。

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