誰でも使えるAED、有志で資金集め設置 深まったご近所コミュニティー 成沢区・白樺の杜地区
10数年前に住宅地として開発された、成沢区内の白樺の杜地区。有志を募って誰もが使える自動体外式除細動器 (AED)を、地区内に設置したのを機に、ご近所コミュニティーの交流が深まりつつある。
同地区には定住者、別荘利用者ら計18戸が軒を連ねる。定住する女子栄養大学名誉教授の三木とみ子さん宅で2023年春、数人で集まったときAEDの話題に。町の設置マップを見ると、公民館を含め成沢区には一つもないことがわかった。医療機関も近くにないため「どうしても付けたかった」と三木さん。
地区内に呼びかけ世話人会を結成。他の困りごとと合わせ、AED設置を要望書にまとめ町に提出するも、後日〈同地区への設置は現時点で難しい〉と回答があった。世話人会の1人大山茂さんは「私たちの希望する間隔で設置していくと、町全体では膨大な数になる。有志で契約し、みんなに使ってもらうという一つの答えにいきついた」。
地区内で賛同者を集め、設置費約28万円を等分。個人宅の物置小屋に10月に取り付けた。設置場所の地図とAEDの使用法を記したチラシを地区内全世帯と、隣接の住民に配布。心肺蘇生法の講習会も開くなかで、顔の見える交流が始まった。困ったことがあれば、近隣で助け合えるよう、通信アプリ「LINE」でSOSグループも立ち上げた。
世話人会代表の三木さんは「命を救うことに反対する人はいない。AED設置がコミュニティー作りの良いきっかけになった」。一方で「意図的に自ら働きかけないとコミュニティー作りは難しい」とも。大山さんは「これからは手が届く範囲の人で助け合う『マイクロコミュニティー』が、新しいムーブメントになると思う」と話した。
物置小屋に設置されたAEDと三木さん。温度管理のための硬質発泡ウレタンによるボックスは、大山さんの手作り。