「聞こえない」「聞こえにくい」とは VR技術で聴覚障害者の世界を類似体感
軽井沢町の手話ボランティア団体「SLC手のひらの会」が11月14日、VR(仮想現実)技術を使って聴覚障害者の「聞こえ」を体験する講習会を開いた。約40人が参加。VRコンテンツを制作した株式会社シー・エヌ・エスの牧村正嗣さんの案内で、ヘッドフォンと360度見渡せる専用のゴーグルを装着。聴覚障害者の視点で道路や食卓、レストラン、教室などのシーンを「全く聞こえない」「聞こえにくい」「聞こえる」の3つのパターンで視聴した。道路の歩行シーンを体験した女性は「後ろから車が近づいていることに気付かなかった。いきなり横を通過していくのは恐怖」。レストラン編の体験者は「周りの話し声が聞こえないので、疎外感で悲しくなった」と話した。
牧村さんは、長女が感音性難聴と発覚したのを機に装置の開発に着手。ろう学校などで日常の困りごとをヒアリングし、シーンごと映像を制作しているが「オフィスや駅のホーム、病院などの映像も作りたい。資金面で協力してもらえたらありがたい」と呼びかけていた。
牧村さん(右)と、VRで聴覚障害者の世界を体験する参加者。