小学5年から母の介護 ヤングケアラーの経験を漫画に
御代田町のケアマネージャー美齊津康弘さんの子どもの頃の実体験が漫画「48歳で認知症になった母」(KADOKAWA刊)になった。若年性認知症の母の排せつの後始末や徘徊後の探索に追われる様子、息子と認識されなくなる辛さなどを赤裸々に描いている。
美齊津さんの介護は小学5年から、母が入院する高校1年まで続いた。会社経営の父は働きづめで、年の離れた姉兄は子育て、大学進学と「誰にも相談できず孤立して苦しんだ」。漫画化にあたっては「同じような体験をして苦しんでいる子どもの勇気や励みにつながれば」と思ったという。
漫画の作画はホームヘルパーとしても活動する吉田美紀子さんが担当。インターネットサイト「レタスクラブ」で2022年2月から隔週で連載され、10月末で580万PV(閲覧数)を記録。反響の大きさを受け、書き下ろしも加えて書籍化された。
かつての美齊津さんのように、家族の介護・世話をする「ヤングケアラー」は小学6年生の15人に1人というデータもある。美齊津さんは、ヤングケアラー支援には、地域の子どもに関心を寄せる大人を増やすことが大事と訴える。「ヤングケアラーは、世間から孤立し深い穴に閉じこもっている状態。気付いてあげて、ほんのちょっと声を掛けてあげるだけで力になる」と話す。
「48歳で認知症になった母」(KADOKAWA)1,210円。全国書店、ネットショップで販売。
不遇な環境で育っている子どもたちの気持ちを、美齊津さんが詞にし、軽井沢町在住の音楽家マキ・奈尾美さんが編曲・歌唱した曲が入ったCD「Resilience」も12月中に販売。サブスクでは先行配信している。