議会ウォッチャーの12月メモ

※紙面に掲載した内容に修正を加えた原稿を掲載しています。

 12月会議は12月5日に再開し、19日に通年議会として閉会の予定。この間、13の議案、5件の報告、5件の陳情が審議されている。初日、本会議後の全員協議会では、来年度予算編成の基盤となる実施計画をはじめ、DX推進、庁舎改築、病院関連の重要計画について説明が行われた(詳細は別途記事を参照)。

 冒頭、土屋町長は自然保護対策要綱の見直しについて、単なる見直しにとどまらず、多角的な検討を進めていることを強調した。一方、全員協議会ではDX推進や庁舎改築、病院関連事業が次の段階へ進む意向を示し、積極的な姿勢が印象的であった。

 注目の議案として、「第3子以降の保育料無償化および多子カウント方法の変更」に関するものがある。この提案は実現までに時間を要したが、多子世帯や低所得世帯の負担軽減を図り、生産年齢人口の増加に寄与するものと期待する。

 また、「情報機器類購入」議案約3億8千万円では、PCやサーバーなど、ソフトウェア約500台分の購入が含まれ、情報機器類全体が更新される見込みと思われる。

 さらに病院会計では、非常用電源改修のため約3億9千万円の債務負担行為が含まれており、これら大規模な投資が目を引いた。

 25年度から27年度までを対象とした町実施計画を見ると、少子化対策関連費用の累計は5億円強。一方で、環境負荷低減関連では、ごみ処理関連費用だけで10億円近くに達する。これらは行政サービスの必要不可欠な部分だが、住民や事業者を巻き込んだ抜本的な見直しが求められるのではないか。交通分野では、しなの鉄道への負担金が25年度に約3千万円増加する予定。これは6月号で触れたSUICA導入に伴うもので、県主導とはいえ、観光経済促進への費用対効果や住民福祉への寄与については一定の疑問が残る。

 病院関連事業には、システム保守、医療機器整備、施設修繕、人工透析設備のほか、経営改善のためのコンサルタント費用や会計補填金が含まれ、総額は10億円を超える。同様に、DX推進やシステム関連事業も10億円を超える規模で計画されており、契約締結等において行政の柔軟性の制約がありつつも、投資効果の最大化が強く求められる。ただし、これらは計画段階であり、今後の予算案編成に反映されていく基礎となるものである。

 行政の重要政策が議論される場である12月会議は、未来への布石を打つ場でもある。今回提示された計画がどのように具体化され、住民の暮らしにどのような影響をもたらすのか。議論の行方に注目したい。(文・赤井信夫)

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