【軽井沢新聞7月号】議会ウォッチャーの7月メモ

 6月会議は20日、委員長報告・討論・表決等を経て散会。議案の大半は賛成多数で可決した。一般会計補正はワクチン助成に対して1人が反対、病院会計補正は機器更新による除却等の処理が不明瞭として2人が反対した。

「訪問介護費の引き下げ撤回と介護報酬引き上げの再改定を求める陳情書」について、賛成多数で採択されたが公明2人は反対した。

 注目は「マイナンバー制度による健康保険証廃止方針の撤回を求める陳情書」について、社会常任委員会で採択されたが、本会議では賛成少数で不採択となった。内訳(議長を除く、敬称略)は、賛成7人(市村、佐藤幹、横須賀、寺田、中澤、小山、小林)に対し、反対8人(佐藤敏、土屋、川島、利根川、押金、福本、眞島、金山)で、同じ会派の議員でも賛否が割れている。

 マイナ保険証は保険証とマイナンバーカードを一体化したシステムだ。カード登録率は約8割に達し、資格確認書の交付で保険証は代替され、DX(デジタルで暮らしを豊かにすること)推進には効果的という意見がある。

 一方、厚労省によると実際の利用率は1割にも及ばず、特に高齢者にとって操作が難しい。75歳以上の2割しか顔認証システムを使えなかったとの調査結果もあり、24年度の保険証廃止は早計とも指摘されている。また、医療機関の6~7割がトラブルを報告。名前や住所の表示不具合、カードリーダーのエラー、他人の個人情報を紐づけられるケースや情報漏洩などが発生している。乳児用に写真なしのカードが発行されたことで、更に事務処理が複雑化した。加えて、通信インフラが不十分な地域や災害時には機能しない問題があり、現に能登半島地震の際には通信不通でマイナ保険証は役に立たなかった。

 総じてマイナ保険証には課題が山積している。政府は拙速に進めることで責任を果たせるのかはなはだ疑問である。(文・赤井信夫)

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