【軽井沢新聞5月号】議会ウォッチャーの5月メモ

 軽井沢町は2024年度から10年間を計画期間とした「軽井沢町環境基本計画」を策定。有機JAS認証取得の補助制度も始めた。また、「軽井沢町教育大綱」の改訂に当たり、市民グループの要望書・署名からの意見を取り入れ、「環境学習・環境教育の推進」「学校給食への有機農産物を活用する取り組み」を文言に盛り込んだ(令和3年12月議会で請願採択。令和5年12月から試験的に実施)。「軽井沢町手話言語条例」の制定(令和4年6月議会にて全会一致で請願採択)も同様だが、土屋町長はボトムアップを重視し、2年目からはよりスピードアップを意識しているように感じる。

 4月26日、軽井沢版日本型ライドシェアの出発式が行われた。あくまでタクシー供給強化が目的だが、懸案のデマンド交通への発展的な変化や影響も期待される。LINE公式アカウントを機能拡充し、一部の機能に住民からの情報取得も盛り込んだ。AIやRPA(定型事務自動化プログラム)導入予算など、いずれもDX推進の表れだ。タクシーやデマンド交通には最早AI配車アプリは不可欠であるし、その他事業でも効率化・省力化だけでなく、情報共有や双方向通信をはじめ、提供価値の向上や可視化・スピード化にDXを要する。DX化で執務に必要な面積は減少する。庁舎面積の最終決定にも影響を与えるだろう。DX推進を図るため今年度、ソフトバンクより採用したCDO補佐官は毎週、町役場へ出向して情報推進の業務改善を補佐していると聴いている。今後数年で、町の様々な仕組みがDX化されるはずだ。否、されなければならない。

 前号でも記した「過年度建築未評価家屋」「高額介護予防サービス費相当事業の未支給」「軽井沢病院の固定資産管理」などの問題の根幹には、『人的ミス以前に、マニュアルやフローなどが存在せず、導入済みのシステムも活用されない状態が、長期に渡って続いていた』ことがあった。長年にわたる町政の置き土産を今、整理・改善していることになる。

 6月会議から議会ではペーパーレス会議システムを導入する。環境負荷への低減はある程度見込めるとしても、紙コストなどの削減額が導入コストを上回ることはない。効果を得るには、役場全体のペーパーレス化が必要だ。DX化は目的ではなく手段である。そしてDX推進の鍵は、一歩前へ踏み出そうという、一人ひとりの意識にかかっている。

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軽井沢町公式ラインアカウントの画面。公園や道路、老朽危険物の損傷について、報告ができるようになった。

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