コスモス5本採って、窃盗犯?

軽井沢が見える万華鏡 №33

1811_sp_cosmos.jpg コスモスが美しく咲く、新幹線側道。
詩や小説に出てくる「野の花を摘んで」という言葉。軽井沢もそんなイメージがぴったりだが、この夏、こんなことが起こっていた。
 8月上旬、中軽井沢の新幹線の側道でコスモス5本を摘んだ女性が軽井沢署に連行され取り調べを受けた。「コスモス5本で?」と思った私はその女性Sさんを取材し事件の内容を詳しく聞いてみた。

 歩道との間に柵はなく、道端に咲いているものと思ったSさんはコスモスを10㎝長さに5本採った。すると、すぐ近くで一時停止違反を見張っていた警官が飛んできて「盗りましたね。人の物をとればそれは窃盗。現行犯です」と言った。Sさんは「盗むつもりはありません。謝ってきます」と言ったが、「その必要はない」と軽井沢警察署へ連れて行かれた。K刑事が写真と指紋をとると言うので、「弁護士を呼びたい」とSさんは言ったが「そんなことをしたら、相手に訴えられて大変な事になる。写真と指紋をとらないと帰れない」と数回言われ仕方なく応じたという。「謝りに行きます」と言うとK刑事は「そんなことをする必要はない。問題が大きくなる」と言い、Sさんは謝ることも弁護士を呼ぶことも拒否され、取り調べは2時間近くかかった。

 話を聞く中で、いくつかの疑問を感じた。刑事訴訟法で義務づけられている黙秘権があることをK刑事は伝えていない。謝りに行くことも、弁護士を呼ぶことも拒否したのはなぜか。

 次にコスモスの所有者Yさんに話を聞いた。コスモスから離れた畑にいたYさんはSさんに気がついて、「花が不揃いだから、その先の方の花を摘んで」と言ったという。離れていたのでSさんにその言葉はよく聞こえなかったようだ。Yさんは警官に「大ごとにしないで」と伝えたが、「あの人は反省がないから」とSさんを警察署に連れて行ったとYさんは言う。「家に飾るからもらっていい?と断る人にはどうぞと言っています。私は警察に通報していません」Yさんは特に問題にしていなかったことがわかった。

 次に軽井沢警察署に取材に行き、佐藤次長に会った。「最初に発見したのは夏の応援に来ていた伊那署の警察官。職務執行についての違法はありません。警察からの事件の広報ではないし、個人のプライバシーに関わるので、コメントは差し控えたい。刑事の対応や被害届についても言えない」というのが回答だった。

 コスモスを5本摘んだことから起こったこの事件--あなたはどう思いますか?(広川小夜子)

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