岸田今日子さん(女優・エッセイスト)
軽井沢で出会った人々vol.4
右:岸田今日子さん 左:筆者(100周年記念イベント)
右:岸田今日子さん 左:筆者(100周年記念イベント)
1984年、岸田今日子さんは舞台にテレビに映画にと大活躍する個性派女優だった。この年はNHK朝のテレビ小説「ロマンス」に出演し多忙を極めていたが、快くインタビューに応じていただいた。
「毎年、夏は北軽井沢の大学村へ行っています。今年も夏休みをもらって2、3週間は行く予定なの」父の岸田さん(劇作家)は大学村の創立メンバーの一人。「父はヨーロッパの田園生活に憧れていました。その頃の別荘は茅ぶき屋根でオランダ風の農家みたいなのだったの。小学校に入る前から、夏は早くから訪れてやぎを飼ったり、お乳を搾ってバターやチーズを作ろうとしたり、いろいろなことをしました。桃の木をたくさん植えて、みんなで袋をかぶせたり...」今日子さんにとって、大学村は楽しい思い出がいっぱいの大切なふるさと。子供たちが集まって勉強する「おさらい学校」や村の運動会の話など、懐かしそうに語る今日子さんはとても嬉しそうだった。よく利用していた草軽電鉄は「ゆっくり走る電車で、途中、きれいな花があったら、降りて摘んでまた乗れるほど。見送ったり見送られたりした思い出もいっぱいあります」大学村の自然や家族との暮らし、友達との思い出が今日子さんの中でずっと輝いていた。
この頃の軽井沢は急激に観光の波が押し寄せ、だいぶ昔とは変わってきていた。「周りにお店も増えて、変わってほしくないと思うこともあるけれど、そこで楽しんでいる人たちも増えているわけで、それをいけないって言うことはできないと思うのね。ある淘汰みたいなのはいつかきっとあって、それなりの雰囲気ができていくんじゃないかしら」と話す今日子さんは、優しく時の流れを見守っているようだった。
1986年、軽井沢避暑地100周年記念の年に旧軽銀座のサムタイムハウスで一緒にトークイベントを行った。朗読する今日子さんの独特な声が今も思い出される。
きしだ・きょうこ(1930~2006年)
東京都生まれ。女優、エッセイスト。姉は岸田衿子(詩人・童話作家)。舞台、映画、テレビで幅広く活躍。声優としてはムーミンの声が有名。テアトロン賞やブルーリボン賞助演女優賞などを受賞。著書「妄想の森」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。随筆、童話など著書多数。1994年紫緩褒章受章。
「毎年、夏は北軽井沢の大学村へ行っています。今年も夏休みをもらって2、3週間は行く予定なの」父の岸田さん(劇作家)は大学村の創立メンバーの一人。「父はヨーロッパの田園生活に憧れていました。その頃の別荘は茅ぶき屋根でオランダ風の農家みたいなのだったの。小学校に入る前から、夏は早くから訪れてやぎを飼ったり、お乳を搾ってバターやチーズを作ろうとしたり、いろいろなことをしました。桃の木をたくさん植えて、みんなで袋をかぶせたり...」今日子さんにとって、大学村は楽しい思い出がいっぱいの大切なふるさと。子供たちが集まって勉強する「おさらい学校」や村の運動会の話など、懐かしそうに語る今日子さんはとても嬉しそうだった。よく利用していた草軽電鉄は「ゆっくり走る電車で、途中、きれいな花があったら、降りて摘んでまた乗れるほど。見送ったり見送られたりした思い出もいっぱいあります」大学村の自然や家族との暮らし、友達との思い出が今日子さんの中でずっと輝いていた。
この頃の軽井沢は急激に観光の波が押し寄せ、だいぶ昔とは変わってきていた。「周りにお店も増えて、変わってほしくないと思うこともあるけれど、そこで楽しんでいる人たちも増えているわけで、それをいけないって言うことはできないと思うのね。ある淘汰みたいなのはいつかきっとあって、それなりの雰囲気ができていくんじゃないかしら」と話す今日子さんは、優しく時の流れを見守っているようだった。
1986年、軽井沢避暑地100周年記念の年に旧軽銀座のサムタイムハウスで一緒にトークイベントを行った。朗読する今日子さんの独特な声が今も思い出される。
きしだ・きょうこ(1930~2006年)
東京都生まれ。女優、エッセイスト。姉は岸田衿子(詩人・童話作家)。舞台、映画、テレビで幅広く活躍。声優としてはムーミンの声が有名。テアトロン賞やブルーリボン賞助演女優賞などを受賞。著書「妄想の森」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。随筆、童話など著書多数。1994年紫緩褒章受章。