【お店の履歴書】軽井沢の駅前で 100年続く旅館を目指して「旅館一田屋」

 軽井沢駅から程近い旅館、一田屋。軽井沢駅にアプト式機関車が通るようになった明治中頃、人々が行き交う拠点になると思い、駅前に移転したと言われている。「明治初頭に私よりも5代くらい前の人が、追分宿で創業したらしいですよ。大正の終わり頃に草津まで電車が通って、当時は時間がかかるから、草津に行く人が軽井沢で一泊したそうです」と話すのは、昭和7年生まれだという前オーナーの土屋多喜男さん。子どもの頃は貸し別荘の管理や氷屋もやっていたという。

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2階入り口へ向かう階段下には、古くから使われている看板が掲げられている。

 昭和中〜後期はテニスやスケート、スキーなどに軽井沢を訪れた観光客の宿として町を支えてきた。「総理大臣の別荘についてきた運転手やSPの方が泊まったこともあります。古い建物の時は2階建ての2階部分が和室だったんです。6部屋あったかな。その襖を全部外して大広間にして、結婚式の披露宴をやったこともありました。今の建物は平成7年に建て替えたものです」と土屋さんは振り返る。

 現在は土屋さんの姪婿、矢吹淳さんが継いでいる。「義父から旅館の話を聞いた時、最初は『大丈夫かな』と思いました。でも、起業している友人に相談したら『問題ない』とサポートしてくれました。今は一田屋を100年続けるという気持ちでいます」と、矢吹さん。

 今後は朝食の提供も企画中だが夕食は出さないつもりだという。「町全体を盛り上げたいから、夕食は色々な場所に食べに行ってほしいんです。Wi-Fiや電子決済などは取り入れるけど、ビジネスホテルになってはいけない。旅館として残せる部分は残したいです」と、展望を語る。

軽井沢町軽井沢東3-2 TEL0267-42-2102

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軽井沢駅の北口を出ると、徒歩1分もかからない立地にある。

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