【お店の履歴書】少人数で寛げる店へ シフトチェンジ「ダイニング福万寿」

 今年5月1日、ダイニング福万寿が静かに移転オープンした。人通りの多い軽井沢駅徒歩圏内から、国道18号バイパス裏手の閑静な住宅街へ。「以前はインバウンドが多く、懇意にしていた台湾の旅行会社からツアーの予約が多く入りました。コロナ禍で少し落ち着いた時期もあったけど、明けてからはすぐにお客さんも戻ってきて。家族経営なので、高齢になり大人数への対応が難しく移転を決意したんです」と、長年中心となって牽引してきた社長の佐藤淑人(よしと)さんは話す。

 昭和40年頃、父の代三さんが千葉県で中華料理店として創業。数年後に母の実家がある軽井沢へ移住し、商業施設内に店を出していた。新軽井沢の大火による実家の焼失を機に、本通りで中華料理店を開店。その後増築して、日本料理に興味があった淑人さんが出店した。昨年まで営業していた店に建て替えたのは平成3年。ゴルフコンペの打ち上げで大手企業が利用することも多く「カレーうどんを気に入った会長が、自分だけコース料理ではなくカレーうどんを注文し『若い頃はカレーうどんばかりだった。ぜひ東京に専門店の出店を』」と言われたこともあったという。

 移転に際し店を畳むことも考えたが「継いでくれた子ども達が、自分のやりたいことを続けながら経営できる店を残したかった。料理のクオリティを下げずに常連さんが寛げる店にしたかったから、移転も大々的に告知しなかったんです」と淑人さんは思いを語る。

 現在は娘のみつきさんと息子の勇人さんが継承。「コースとして一番美味しい状態で料理を提供する」というポリシーと共に店を守っている。

軽井沢町大字長倉1870-15 TEL0267-48-6388

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(写真上)移転を知らない常連客も多く「改装と思ったら移転していた」と驚かれることもあるという。(下)「ゆったり過ごしてほしいので、席間隔もゆとりを持たせています」と淑人さん。

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