【お店の履歴書】名物料理「むしり」と 蒸し焼き機を開発
わかどり
昭和35年から店を構えているわかどり。起点は昭和27年、料理好きだった創業者の小林信雄さんが、じっくり蒸し焼きにした若鶏のモモをむしって食べる名物「むしり」を考えた事だった。信雄さんは、肉を焼くためのオリジナルの蒸し焼き機とむしりに欠かせないソースを開発した。
現在は2代目で息子の博さんと、3代目の真希さん夫妻が店を切り盛りする。「佐久市の中込駅前で肥飼料など色々な商売をしていた祖父は、飼料の卸で鶏も扱う農家さんへの出入りがありました。そこから鶏料理の店を出そうと思ったみたいです。その後に知り合いから『軽井沢でお店を出したらどうか』と勧められて、出店したと聞きました。私は姉の結婚を機に継ごうと考えましたが、それまでは全然考えませんでした」と真希さんは笑う。
テイクアウトをスタートしたのは博さんに代替わりしたときだ。当初はむしりのみだったメニューも今は増え、焼き鳥などの焼き物も全て信雄さん開発の機械で焼いている。
皇室や政財界の来客も多く、他の来店客から「今いらしたのは皇室の方よね」と教えられることもしばしば。「子どもの頃から、毎回正装でフォークとナイフを持参するご夫婦を『どんな方?』と思っていたら大賀ホール建設の時に拝見して『大賀夫妻だった!』と驚いたんです。世代を超えて長年通ってくださる方も多く、ありがたいです」と話す真希さん。祖父から受け継がれる焼き方を守りながら、訪れる人を迎えている。
軽井沢町軽井沢3-4 TEL0267-42-4520
昭和36〜38年頃の写真。中央の白いシャツの男性が小林信雄さん。テニスコート通りの店は夏のみの営業。昭和60年初頭頃に中込の店を閉店。平成元年に現店舗の裏手で冬季営業できる店を開いた。
平成29年に現在の場所へ移転し2拠点営業を終了。ここでの通年営業が始まった。