【お店の履歴書】のんびりと過ごせる 昔ながらの喫茶店
ぱいつぼおる
ノルウェー語で「ストーブの中で燃える炎」という意味が店名の喫茶店、ぱいつぼおるが創業したのは1985年。草軽鉄道廃線後の道路拡張で、オーナーの吉田秀一さんの実家が大通りに面したこともあり、「元々やりたかった」という喫茶店をこの場所で始めた。当時は吉田さんの姉と妻の加志子さんが主に切り盛りし、吉田さんは会社勤めをしながらの営業だった。「前から喫茶店巡りと写真が好きだったので、良い喫茶店の写真をたくさんファイリングしていたんです。このお店を建てる時は、写真を見ながら色々な喫茶店の良い所を取り入れました」。店内に薪ストーブや本棚を置いたのも「『軽井沢らしい、時間を気にせずゆっくり過ごせる喫茶店』にするために、一切妥協はしませんでした」という。
(レンガと木で作られた趣のある店。三笠通りに面した立地で、観光客や別荘客でにぎわう)
当時の旧軽井沢エリアでは10時開店の店が多い中、6時からモーニングを始めたのもぱいつぼおるが最初だという(現在は繁忙期以外9〜18時営業)。全盛期は開店と同時に満席になる日々で、一番多い時はモーニングだけで130食も出た。創業時から変わらないオリジナルレシピの自家製ケーキは夫婦で様々なケーキを食べて研究しながらたどり着いた味。これを求めて来る人も多く「注文が減るかと思って値上げしたのに、全然効果がなかった。そこから値段を変えていないので、今は安い方ですね」と話す吉田さん。「昔は名だたる会社の社長や会長がカウンターでコーヒーを飲んでいる風景もありました。お店を開けるのが遅くなると『早く開けんか!』って言われたりね。親子三代で来てくれる人や『薪ストーブの師匠』と慕ってくれる人、いろんなお客様が来てくれます。元気な限り夫婦で続けていきますよ」。
ぱいつぼおる
軽井沢町軽井沢197-2 TEL0267-42-3159
(吉田秀一さん、加志子さん夫妻。東京で大手ベーカリーのパン職人をしていたという秀一さん。店で使うパンも自身が納得いくものを選んで仕入れている。)