【軽井沢人物語】株式会社エムズ 代表取締役会長 徳間 壽美子 さん
犬猫の保護活動に注力 約1,700匹を新たな飼い主に
専業主婦として2人の子育て中だった1982年、ホームバザーで貯めた50万円を元手に、サービス業向けのユニフォームの企画、製造、販売を行う会社を立ち上げた。特注の40着が納品直前でキャンセルされるなど「はちゃめちゃのスタートでした」。それでも飛び込み営業で顧客を増やし、大手飲食チェーンの発注を受けるようになると、10年後には事業が軌道に乗り始めた。ユニフォームのトレンドは時代とともに変わるが、職場の環境作りの一端を担っているという自負は、一貫して変わらない。
「いいものを作って着る人が笑顔になれば、接客を受けた人にも笑顔が繋がっていく。『笑顔の連鎖』が当初からのテーマです」
東日本大震災により、自社の縫製工場と物流センターのある宮城県南三陸町が被災。高台にあった工場は津波を免れたが、従業員25人の家が流され、ふたりが命を落とした。悲しみを抱えながらも「できることは何でもやろうと、片っ端からやりました」。発電機の確保に井戸の掘削、仮設アパートや食堂の設置、コンビニエンスストアの招致・運営などに奔走。被災した従業員の雇用確保のため2011年夏、離山通りにレストラン「Hamy's」も開業した。
2010年に佐久保健所から1匹の柴犬を引き取ったのをきっかけに、保健所収容の犬猫や、多頭飼育の崩壊により行き場を無くした子たちの保護活動を始める。別荘に犬舎とドッグランを作って一時預かり、保護活動を行う個人や団体のつながりを生かし、これまで約1,700匹を新たな里親に結びつけた。18年に立ち上げたNPO法人では、捕獲した野良猫に不妊去勢手術をして地域に戻す活動にも力を入れる。
「野生の猫を増やさないよう取り組んでいるのは民間が中心。本来は動物福祉の精神に則って、行政がやるべきことだと思う」
自然に囲まれ、犬を連れて楽しめるスポットが充実している軽井沢には「日本一ペットにやさしい街になってほしい」と願う。
「犬猫を好きな人(飼い主)が毎月少額でも税金を払って、動物福祉に役立てる仕組みがあってもいい」
大学生の頃に両親が軽井沢に別荘を建ててから、夏を中心に訪問。18年に横浜から拠点を移した。保護犬11頭と自宅で生まれた1頭の計12頭と、夫と2人で暮らす。