【軽井沢人物語】株式会社イナクト代表取締役 高山 信彦 さん
企業内スクールで7000人を指導 事業変革、幹部人材育成に貢献
慶應義塾大学法学部卒業後、富士ゼロックスに11年間勤めたのち、経営コンサルタントとして独立。当初はクライアントの課題を洗い出して分析し、解決手段をレポートにして提案していたが、会社が変わらないことに気付いた。
「外部の人に言われて、会社が『はい、はい』と方針を簡単に変えるわけがないんですよね。内部の影響力のある人たちが、心の底から真剣に戦略を考え、周りを巻き込んでいって初めて、会社は変わるんです」
企業内ビジネススクールを企画・運営し今年で33年。東レ、JR西日本、シスメックスなど、多岐にわたる業種でのべ7000人以上を指導。次世代の幹部人材育成や新たな価値をもつ商品の開発、事業変革に貢献してきた。東レとユニクロが共同開発した合繊インナー「ヒートテック」の誕生にも、東レの受講生の卒業発表が大きな役割を果たしたという。
「受講生は1年間、経営書から得られる示唆を学んで戦略案を立て、具体的に事業として実践します。その過程で重要なのが、顧客の心の奥にある声を聞くこと。事実をどれだけ集められるか。常に『事実、事実、事実』と言っています」
東京を離れ空気の良い場所で過ごせる時間を--と10年前、軽井沢に拠点を作った。家族と夏休みや年末に長期滞在するほか、気が向いたときにふらっと来ることも。
「自宅から1時間半で別世界。東京のコピーみたいな地方都市でもなければ、単なる田舎でもない。『いつでもあそこに行ける』という思いが、仕事の糧になっています」
1956年生まれ、山口県出身。テニスにサーキット走行、美術鑑賞、旅行、写真と趣味は幅広い。絶対にやらないと決めていたゴルフも3年前、次女の勧めで始めると「見事にはまりました」。最近は動画撮影に凝っていて、友人の舞踊家とオペラ歌手がコラボした映像をYouTubeで配信している。
「受講生に何かやるように勧めるときも、自分ができないと説得力がない。そうこじつけて、趣味もとことんやるんです」
クラシック音楽好きが高じ、公演とレクチャーを組み合わせた講座を尾道や能登などで主催。軽井沢では2016年から開く「軽井沢森の音楽祭」の総合プロデューサーを務める。今年は11月19日、軽井沢倶楽部有明邸で2公演を予定している。