【軽井沢人物語】料理研究家 山本 麗子 さん

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40年以上続く料理教室 「簡単でおいしい」を追求

 90年代前半、当時軽井沢に住んでいた、友人のエッセイスト玉村豊男さん夫妻のもとを頻繁に訪ねるうち信州に魅了された。

「緑に囲まれ、鳥の声がして空気もさわやか。(4才まで暮らした宮城県の)原風景と重なるところがあったんでしょうね」

 花が咲き乱れる庭を造りたいと1994年、東京から北御牧村(現東御市)に移住。約2000坪の敷地に桜100本、スイセン3万本、芝桜が一面に広がる庭は観光ツアーのルートにも組み込まれ、「4月になると、バスで大勢の方が見に来られるんです」。

 食堂を営む両親の背中を見て育ち、10代後半には「メニューにあるものは全て作れる」までに。20代はフランス、イタリアを中心にお菓子屋を巡り、食べては自分でも真似て作る日々。自宅で料理雑誌の編集者にフルーツケーキを振る舞うと「大変気に入ってくださって」、レシピが雑誌に掲載されたのが料理研究家としてのキャリアの始まりだ。

 「きょうの料理」「キユーピー3分クッキング」などのテレビ出演のほか、料理本も数多く手がける。県内では「ザ・駅前テレビ」で、生放送で料理する姿でもお馴染みに。

 旅行会社が企画する国内外のツアーに専門講師として同行する、旅の仕事も25年間続けている。2020〜21年は新型コロナの影響でばったりだったが、昨年から徐々に増えてきた。

「前もって下見に行くんですけど、観光はしないでひたすらレストラン巡り。一日5食することもありました」

 家庭の都合などもあり、佐久市での生活を経て、昨年5月軽井沢へ移住。1978年から主宰するお菓子と料理の教室「スウィートハート」も続けている。約70人の生徒の中には2時間半かけて栃木県から通ってくる人も。

「皆さん忙しいので、どこでも手に入る食材でいかに簡単においしくできるかを常に考えています。『手間がかかっても、この味だけは伝えたい』と思うものも、たまに作ると喜んでくださいますね」

 今は仕事も遊びもいいバランスだが「誘われたらなるべく断らないように」しているため、気付くと予定が立て込んでいることも。軽井沢生活も1年が経ち落ち着いてきたので「お店を巡ったり、色んなところへ出かけて、楽しみたいですね」。

 教室の参加希望も多いことから、枠を増やすことも考えている。

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