【軽井沢新聞4月号】中庭のある多角形型の建築デザインを採用か 庁舎改築へ基本計画まとまる
軽井沢町は3月末までに、庁舎改築周辺整備事業基本計画をまとめ、28日の全員協議会や定例会見で、土屋三千夫町長、担当課長が内容を説明した。
基本計画は24年8月の基本方針策定後、学識経験者や公共団体職員、町職員などの推進委員会(24人)が10月から毎月1回議論。住民説明会やパブリックコメントのほか、職員が各区へ出向いた意見収集、無作為抽出の町民、別荘所有者を集めた意見交換会を行うなどし、町長は「話をしっかり聞いた上で、取り入れるべきと判断した意見を選択している」と説明した。
整備手法については、3つの案から「建て替え時の影響が少ない」「計画の自由度が高い」などのメリットがあることから、庁舎と交流センター(公民館機能拡充施設)を一体で建てることを11月に決定。周囲への圧迫感を減らし、落雪を分散できる多角形型にし、中庭を設けることで屋根の高さを抑える計画を示した。長方形型に比べ、建設費が3・6億円高くなる(建築単価800千円/㎡で計算)ため、議員が改めて採用の理由を質した。担当課長は、自然光や通風の確保につながり、中庭がある方が省エネ効果は高いとし「作る時点で金額の差は出るが、ランニングコストで埋められるようにしたい」と答えた。
2月28日の住民説明会は18人が参加。模型を前に、設計者が新施設の考え方などを話す場面も。
公民館については、より幅広い活用ができる交流センターへの移行の方針を示し、町管理よりもメリットが大きいと判断したら「民間活力の導入も検討していく」とした。
見直し前から5200㎡減 総事業費は約120〜125億円
施設規模は全体で約9000㎡(新庁舎約6000㎡、交流センター約3000㎡)と想定。両施設の共用スペースを設けるなどし、基本方針時から約2000㎡縮減。総事業費は、25年1月時点の建築単価(800千円/㎡)で約120〜125億円と見積もった。見直し前は施設規模14200㎡で、総事業費は約123億円。「現在の建築単価に置き換えた比較では、約162億円から37億円、23%削減できる」(町長)と述べた。
総事業費については、2月の住民説明会やパブリックコメントで「いくらインフレが進んでいるからとはいえ高すぎる」「改築ありきではなく、予算上限を明確にし断念の選択肢も取るべき」といった厳しい意見も。町長は「コストの問題は時間が解決するものではないので、先送りせず丁寧に説明しながら、抑えるべきものは抑える」と事業を進める意志を示した。
また、3パターンの物価上昇予測を示し、最も高い14%増(単純計算で総事業費142・5億円)に振れたとしても、「町の財政の健全性を担保できる」と強調した。
町は25年度中に基本設計をまとめる計画で、数カ月に一回の推進委員会で議論しながら、住民向けののワークショップや意見交換会も開く予定だ。新庁舎は27年度の着工、29年度中の開庁を目指している。