【軽井沢新聞3月号】条例違反による名前公表、 町の過失と判決
長野地方裁判所上田支部は、軽井沢町が「軽井沢町自然保護のための土地利用行為の手続等に関する条例」にもとづき、カフェ経営者の氏名や住所を公表したことは違法と認定し、町に損害賠償金など110万円を原告の経営者に支払うよう命じた。
軽井沢町は令和2年2月3日、町内でカフェを営んでいた(株)軽井沢総合研究所が、事前協議手続きに関する町の勧告に従わなかったとして、同社代表の氏名や住所を町ホームページや広報で公表した。
同社は、町による不適切な行政指導が原因で、適切な指導をしていれば事前協議を終えた蓋然性が高く、公表は違法であると主張。令和3年12月、町を相手取り、損害賠償金1,100万円を求め提訴していた。
同条例は飲食店を営業する際は、町との事前協議を義務づけている。協議を終了せずに営業し、町の勧告にも応じなかった場合は、その旨を公表できるとされている。
判決は、町の勧告を受けて、同社は十分な内容の協議書を提出するよう努めたにもかかわらず、「被告(町)の行政指導によって期限までに受理されなかった」と認定。氏名等の公表が法令の定める要件を満たしていないと判断し、公表した町に過失があると結論づけた。