軽井沢の自然環境と景観を守るための宣言、町が発表

 土屋三千夫町長が318日、「軽井沢の自然環境と景観を守るための宣言」を行った。近年、居住地として軽井沢の人気が高まり、マンションやホテルなどの大規模開発や皆伐などが増加していることへの危機感から、町の方向性を示し、「早めに手を打ちたい」と宣言するに至った。

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 宣言では「軽井沢町の自然保護対策要綱」の見直しや土地利用の規制強化、マンション・ホテルなどを制限するエリアの制定、景観基準の設定などが示された。

 マンションやホテルの建設は、「特別用途地区・特定用途制限地区」を指定することで、一定のエリアでの開発を抑制を目指す。具体的な場所について、町は建築協定や景観育成住民協定が締結している地区を候補地として挙げている。現在、軽井沢町には建築協定を締結したエリアが1地区、景観育成住民協定の地区が9つあり、協定のエリアそのものの面積も増加している。

 また宣言では軽井沢独自の基準をわかりやすく伝えるとし、併せて「軽井沢町自然保護対策要綱」の簡易版の冊子「軽井沢の自然と景観を守るためのガイドライン」も発表した。同冊子は役場の窓口などで配布される。

以下、「軽井沢の自然環境と景観を守るための宣言」全文

 多くの人を惹きつける軽井沢の魅力の原点は、美しい自然とそれに調和した低層建築物が織りなす独自の景観にあります。

 この景観は、長い月日をかけてここに暮らす人々の手により育まれてきたものであり、軽井沢を訪れる人々に癒しと安らぎを与え、住民にとって誇りとなる財産です。

 昭和47年に「軽井沢町の自然保護対策要綱」が制定されました。その後、時代の状況に応じた改正を行い、その理念を守り続け、現在においてもまちづくりの基本として重要な役割を果たしています。また、開発と自然環境及び景観の維持とのバランスを取るため効果を発揮してきました。しかし、近年の居住地・滞在地としての人気の高まりに伴い、急速にマンション・ホテル・住宅の建設が進み周囲と調和の取れない建物が増えています。また、水源地の水量不足や広範囲の樹木の伐採にによる生態系への影響等が懸念されています。このバランスが崩れかけている現状は、軽井沢の持つ本来の魅力が失われかねない重大な危機に直面していると言えます。

 軽井沢の魅力である四季折々変化する豊かな自然環境と独自の景観は後世に引き継ぐものであり、今を生きる私たちはこの責任を負っています。これからも、軽井沢の自然環境と景観を維持していくという強い姿勢で、50年以上その理念が大切に受け継がれてきた「軽井沢自然保護対策要綱」を軸に、都市計画法、建築基準法及び景観法に基づくバランスの取れた町独自の土地利用規制を行い、持続可能なまちづくりの実現に向け宣言します。

一 「軽井沢町の自然保護対策要綱」の見直しとともに、「軽井沢町の自然保護のための土地利用行為の手続きに関する条例」による規制強化、都市計画法に基づくマンションやホテル等を制限するエリアの設定、景観基準の設定を行います。

一 軽井沢独自の基準を見える化し、具体的なルールをわかりやすく伝えます。自然と景観を守り未来へ繋ぐ責任を全ての関係者で共有し、先人たちが築いてきた軽井沢の自然環境と景観を守ります。

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