歴史的建造物の保存活用を 各地の事例をもとに考える
軽井沢ナショナルトラストが創立30周年を迎え、10月19日に明治四十四年館で「歴史的建造物の保存と未来を考える」をテーマに記念シンポジウムを開催した。
最初の登壇者は、観光庁文化・歴史資源活用推進室長の打田剛さん。「お城宿泊」や限定プレミアムツアーなど、地域の魅力を磨き上げて観光資源としている全国の事例を紹介した。次に、株式会社WAKUWAKUやまのうちなどを手掛けた代表の岡嘉紀さんが、山之内町や京都などでの事業を例に、歴史ある建物を活用した地域活性化のためのファイナンスや問題点について具体的に説明した。最後は、建築家の川井加世子さんが、軽井沢で歴史的建造物を活用した5例を紹介。カフェ、ホテル、アトリエ、別荘、診療所がそれぞれどのようにリノベーションされて使われているかをビフォーアフターでわかりやすくプロジェクターで映し出すと、会場からは美しく変わった様子に驚く声があがった。
軽井沢ナショナルトラストは1994年に、明治四十四年館の保存活動をきっかけに設立された。創設者の一人、広川小夜子さんは「文化遺産としての歴史的建造物は軽井沢の宝。30年の間に三井三郎助別荘や川端康成別荘など貴重な建物が失われてきたのは残念だが、それを教訓に、軽井沢ナショナルトラストが次世代へ別荘文化を積極的に伝えていくことを望んでいます」と期待の言葉を述べた。