【軽井沢新聞10月号】基準地価上昇 住宅地は13年連続、町内各地に広がる影響
9月17日に発表された基準地価で、軽井沢町の住宅地と商業地はいずれも上昇し、住宅地としては旧軽井沢の別荘地が1㎡あたり16万円で長野県内の価格1位となった。商業地でも旧軽井沢銀座商店街が34万円で県内2位に。南原の基準地では98600円となり、コロナ前に比べると2倍近くまで上昇している(2018年7月は52700円)。19年以来、町内の全地点で地価は上昇し続けている。
進む開発、林や畑も売地に
こうした地価の影響を受け、賃料も上昇傾向にある。町内でテナントを借りて飲食店を経営する男性は「来年の契約更新で家賃の値上げは必至」とし、同業者や周辺の店舗も賃料の高騰を懸念しているという。家賃の値上げに伴い、町外への移転や閉業を選択する店舗もある。
地価は全町的に上昇し、西側のエリアにも変化が見られる。追分に暮らして10年になる住民は「今まで誰も手を付けていなかった雑木林も木が伐られて売地になった。林や畑が減って、家や店舗が増えた」と話す。
旧軽井沢の別荘文化の継承を目指す「旧軽井沢の歴史と景観を守る会」は、こうした地価上昇は、開発行為の増加の結果でもあり、また原因にもなっているのではと指摘する。地価の上昇により、固定資産税や相続税の評価額が上がり、相続税も高額になるため相続前に売却するケースも増える可能性もある。
「別荘所有者も高齢化している。相続前後の売却の際に不動産会社への丸投げが進むと、軽井沢の歴史や景観を理解していない開発業者や新オーナーにより、皆伐、周囲と調和しない建物などが増える」と強い懸念を表す。「時間をかけて、相続や承継の準備をすべき」とし、行政面では、自然保護対策要綱の厳格化や条例化の検討、さらに都市計画マスタープランやゾーニング(用途地区指定)などの見直しの必要性を訴えている。