【軽井沢新聞9月号】ベアドッグ繁殖プロジェクト成功 渡米し自然交配、9月下旬に出産か
クマ対策で活躍するベアドッグのレラが、繁殖のため5月9日にアラスカへ渡航、現地で交配の成功が確認され、8月下旬に帰国した。順調にいけば9月下旬には日本で出産予定だ。
ベアドッグはクマの匂いを察知し、追い払うための特別な訓練を受けた犬で、軽井沢では現在4頭が活動している。アメリカで認定された職業犬で、ピッキオでは2004年から導入し、クマの追い払いを行ってきた。ハンドラーの田中純平さんは「軽井沢の別荘地は森の中に人家があり、花火や銃も使いにくい場所。クマ対策にはベアドッグが不可欠」と話す。11年以降、軽井沢町内で人間の活動エリアでの人身事故は起きておらず、昨年の商業地、住宅地での目撃はわずか8件と、ベアドッグによるパトロールの効果が上がっている(04年は44件)。
アラスカのデナリ国立公園で。田中さんとレラ(右)とお相手のパパカス(左)。
長時間フライトを乗り越えて
レラは18年、ピッキオが日本初のベアドッグの繁殖に挑戦し誕生したうちの一頭。昨年、繁殖適齢期を迎え、人工繁殖に挑戦するも失敗。年齢的に今回が最後の挑戦となった。
渡航費などはクラウドファンディングで集め、900万円超が集まった(支援者808名)。初めて飛行機に乗るレラと田中さんは、何度も松本空港に通い、飛行機に慣れる練習を繰り返した。計14時間のフライトと12時間のトランジットを乗り越え、無事にアラスカに到着。3カ月半滞在した。
「行きの様子に比べると、レラは帰ってくる時はとても落ち着いていて、母親となり、体も精神も変化したと感じます」と田中さん。「クラウドファンディングは地元の方の応援も多く、メッセージに励まされました。軽井沢は自然豊かなところなので、生き物のことを知ると暮らしも楽しくなるし、いざという時に冷静に対応することができると思います」