【軽井沢新聞7月号】景観協定への同意者が急増 増加する開発行為に立ち上がる住民
建築物の外観や植栽、使用目的などについて、地域独自のルールを定めた「景観育成住民協定」の同意者が町内全域で急増している。
地域の景観や環境を住民協定で守ろうという動きは、2022年に相次ぐ開発を受けて、旧軽井沢の4地区が県に認定されたことから始まった。その後、旧軽井沢で1地区が追加で認定されると、今年に入り、同様の動きが加速。旧軽井沢で1地区、追分で2地区が新たに県から認定される。
今年5月に追分で認定を受けた啓明別荘地。きっかけは昨秋、1300坪の土地が伐採され、都内の業者が貸別荘を建設する計画が持ち上がったことだった。対応を求めて役場に相談するが、「行政にはがっかりした。自分たちで守るしかない」と反対の署名を集めて提出、計画を中止させた。
同地区協定の代表を務める片山継治さんは「これからも同様の問題が起きるかもしれない。住民の意思を明確に示す必要がある」と景観育成住民協定の締結を目指し、4月に住民の3分の2を超える賛同者が集まり成立した。
協定エリアは2倍に拡大
協定を申請中の1000m林道周辺地区では、道路沿いの広域伐採に不安を覚えた住民らが「野生動植物と共生するために自然景観を守りたい」と呼びかけ同意者を募った。定住者の大半が賛同し、協定が成立。7月中に県が認定する予定だ。
旧軽井沢の既存の協定エリアでも、同意者が増え、3地区で協定区域の面積が増えている。町内全域で、協定エリアは当初の2倍の約60㌶、協定区域に組み込めた同意者は93名から219名と2倍以上に、全同意者は323名となった。
片山さんは「行政が住民のこうした声を拾い上げてほしい。町として新しい動きが求められていると思う」と憤りをにじませた。
協定が成立した追分啓明別荘地。