信大寄付講座、今年度以降の継続はなし

 軽井沢町は東大・信大との連携に基づく信州大学への寄付講座について、2023年度以降の延長はしないと決定した。18年4月から始まった寄付講座「医療安全法学」に、町は5年間で2億5千万円を拠出していたが、今年3月、寄付金の使途について住民監査請求が提出された。町が研究拠点として信大に無償貸与しているオフィスの居住や転貸、監査請求で指摘された利益相反行為や海外出張費について、町は信大に説明を求めていたが、7月6日に回答があった。回答を受け、町は寄付口座終了の方針を公表した。軽井沢新聞にも同日、信大から取材への回答があった。

 オフィスに関係者が居住している点について信大は、町に対し「カーテンを設置した部屋とそれ以外があった」「居住が想定されていた」と回答。一方、軽井沢新聞社に対しては「(町から)居住して管理するよう求められた」と説明している。

 またオフィスをNPO軽井沢先端学術センターに事務所として転貸した件について信大は「法人の決裁書類等から適正に処理された」と述べた。軽井沢新聞社が町に確認したところ、居住して管理を求める文書や、オフィス転貸を町が認める書類は存在しないと判明した。町と信大で交わしたオフィスの使用貸借契約書では、町の承諾なしに転貸を禁じる条項がある。

 NPO軽井沢先端学術センターは信大社会基盤研究所から多数の業務が委託されていたが、同研究所の教員らと同姓同名の複数の人物が役員になっていることから、利益相反行為が指摘されている。信大は町に「該当する取引は確認されなかった」と説明した。軽井沢新聞社は信大に判断の根拠と理由を尋ねたが、明確な回答は得られなかった。

 追加の質問に対して、信大から軽井沢新聞社への7月27日の回答は次の通り。

「今回の調査に関して本学が貴社に対して回答できる内容は、令和5年7月6日付け軽井沢町への回答書及び同日付け貴社への回答書に記載した事項が全てとなります。今後、本件について新たにご質問をいただいた場合も、同様の取り扱いとさせていただきますのでご了承ください」

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