信大連携の寄付講座で公金支出 一部不当と住民らが監査請求
軽井沢町と信州大学・東京大学との連携協定にもとづき、町が5年間にわたり信州大学に寄附した計2億5千万円の使途について、一部不当な支出があり町に返還すべきだとして、住民有志が3月13日に監査請求書を提出、4月3日に意見陳述が行われた。
町の寄付金をもとに、信大社会基盤研究所が2018年に寄付講座「軽井沢医療安全法学」を設置。3月3日に初めての報告会が行われたが、参加した住民の一部が「寄付金の使い道が不透明」として、寄付講座の支出状況や、信大が町に出した報告書などを自ら調査した。
監査請求人の一人で科学ジャーナリストの三島勇さんは「寄付による研究成果は曖昧で具体性がない。寄付金からの支出が研究とは関係がないとみられるものに充てられている。公金を使った研究としては会計が不透明」と話した。
信大も臨時調査を開始
監査請求書によれば、①寄付講座の研究活動と直接関連性がない住宅関連の支出、②成果や目的が明らかでない出張費、③利益相反行為の3点で、「公金から支出することは明らかに違法であり不当」とし、当時の町長や出張を行った者らに返還等を求めている。
①は2021年に信大が大学運営費で購入した恵みシャレーの建物の不動産鑑定料や仲介手数料で、取得の目的が町のためではなく、大学の事業に関するものだと指摘。
②はドイツ、イギリス、アメリカ、熱海、奄美大島への交通費等とみられ、報告書に記載がなく、寄付講座との関連性はないとした。
③は「特定非営利活動法人軽井沢先端学術センター」へのチラシ印刷費や施設利用料の支払について、利益相反行為としている。
同センターの理事長や理事らには、信大社会基盤研究所の特任教授や特任助教と同姓同名の人物が複数いると指摘。利益相反行為は、発注元と発注先の双方の役員を同一人物が務めている取引が該当する場合がある。
このセンターは2017年設立。法人登記簿では18年から約1年間、法人所在地が、信大社会基盤研究所が軽井沢オフィスとして利用している町所有の建物と同じ住所だった。現在は、同センターの副理事長(22年6月時点)と同姓同名の、信大社会基盤研究所の特任教授が町内に所有する建物の住所に登記されている。
軽井沢新聞社の取材に対し信州大学は、寄付講座に係る会計経理について臨時調査を開始したとし「現時点ではコメントは差し控える」と学長名で回答した。
住民らが監査請求を提出。60日以内に監査が行われる。