別荘文化を次世代へつなげる「文化遺産別荘バンク」設立へ
近年、世代交代や開発が進み、歴史的な別荘や建築物が取り壊されている。こうした状況に歯止めをかけたいと、軽井沢文化遺産保存会は11月4日「軽井沢文化遺産別荘バンク」を立ち上げ、中央公民館で説明会を行った。同会は三井別荘や川端康成の別荘の保存を目指していたが、いずれも解体された。「2軒とも売却・解体を知ってから時間がなかった。もっと早くに分っていれば譲り受けたいという希望者はいたはず」と同会の事務局は話す。
文化遺産別荘バンクは、著名人ゆかりの別荘など次世代へ残したい建築物を所有者が登録し、建て替えや売却のタイミングで購入希望者を募る。文豪らが親しんだウィン別荘が第1号として登録された。事務局では町のブループラークに認定された建築物の所有者に登録を呼びかけるという。
川端別荘の部材等を保存に向け一時保管
9月5日に解体が始まった川端康成別荘の部材や書物の一部を、旧軽井沢の別荘住民Aさんが保管していることがわかった。軽井沢文化遺産保存会等の方針が決まるまでの一時的なことだという。Aさんはノーベル賞作家の別荘が壊されることに疑問を感じ、窓枠などが運び出される寸前に解体業者に連絡して費用を払い、部材等を引き取った。現在、大学の都市建築を専門とする教室に委託し、持続的な保存計画書を準備している。同計画書を保存会等に提案して、最終的な保存に向け協力したいと話している。
(文化遺産別荘バンクの登録第1号。宣教師T・C・ ウィンが明治末期に建てた別荘。歌人片山広子が暮らしたことがあり、芥川龍之介や堀辰雄も訪れた。)