ウィスラー姉妹都市20周年の記念碑建立をめぐって

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石を人の形に積み上げたイヌクシュク。(写真は一例)
 3月20日、いつもは閑散としている町議会の傍聴席が、この日は町民で満席となった。



「役場前の公園にウィスラー姉妹都市の記念碑が建つというメールが回ってきました。町民に知らされないうちに予算が決定するというので、急いで駆けつけました」と話す中軽井沢の土屋さん。ウィスラー姉妹都市提携20周年を記念するもので、カナダのイヌクシュク(北極圏の先住民が石を人の形に積み上げ道標とした像)を模した石像だという。



設置費用の修正案

 町議会定例3月会議が始まり、一般会計予算が報告されると、4名の議員から、石像設置にかかる予算700万円を削除する修正案とともに動議が提出された。その理由として押金議員は「軽井沢の歴史や風土に根差していないものが、浅間山や湯川の風景に合うとは思えない。模造品を作ってもそこに魂はこめられていない。交流記念事業なら視野を広めるための人的交流に使うほうが望ましい。記念碑設置が住民益につながるという明確なプランが示されていない」と述べた。このあと、記念碑設置に賛成する議員と反対する議員の討論が繰り広げられた。



賛否討論、町民の反応は

 賛成派の議員からは「軽井沢はウィスラーからリゾートに関することや野生動物のこと等多くのことを学んだ。20年の交流を後世に残すべく記念碑を建てることに賛成する」等の意見があがった。続いて設置反対の議員の意見は「記念事業は住民に密着したものにすべき。イヌクシュクを建てることよりも交流できる場を作ることだ」などの意見があがった。



 軽井沢町の一般会計予算案の採決は賛成多数(賛成9、反対5、棄権1)で、原案可決された。



 訪れていた60代女性は「突然の話で住民の9割はこのことを知らない。もっと意見を聞いてから決めてもらいたい」。また50代男性は「本物でなくレプリカというのは恥ずかしい。子供たちの交流などソフト面に活かすのが本当の意味で交流の記念事業になるのでは」と疑問を投げかけた。(広川小夜子)



交流20周年記念碑設立に関して

軽井沢別荘団体連合会が意見書を提出


 3月28日、別荘団体連合会は軽井沢町長と軽井沢町議会に対して、「ウィスラー市姉妹都市提携20周年記念碑設置に関する意見書」を提出した。



 「記念事業が記念碑設置であり、それが特定の民族的意味を持つ石造物であることに違和感を覚える」と述べ、「記念碑設置の必要性と記念碑がイヌクシュクでなければならない理由は?」「イヌクシュクはウィスラー固有のものではなく、北極圏の広範囲の民族のもの。それを特定の姉妹都市提携の記念碑にすることの許容性は?」「記念碑の清掃など維持・管理については?」など意見を述べるとともに、軽井沢まちづくり基本条例12条(説明責任)に基づいての説明と質問への返答を求めた。総合政策課の話では、4月中に町長が回答する予定だという。

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