ベアドッグと森の中を歩いてきた!
クマが人の住むエリアに近づかないように、クマ対策犬(ベアドッグ)が活動しているのは、日本ではここ軽井沢だけ。その仕事ぶりを覗かせてもらいに、ピッキオのツアー「ベアドッグと歩く森さんぽ」に参加しました。ツアーは「ベアドッグに会いたい」という声に応え、クマ冬眠中のオフシーズン限定で昨年からスタート。
案内役を務めてくださったのは、4頭いるベアドッグのうち、実務デビュー4年目若手有望株のエルフ(4才♀)と、ハンドラー(飼育兼訓練士)の井村潤太さん。
まずは室内で、クマとの共存に向けた取り組みを聞くレクチャータイム。ベアドッグの役割や、軽井沢で活動する4頭それぞれの特徴など、映像を交えながら説明を受けます。
レクチャーによると、ピッキオでは6~10月の毎晩、発信器をつけた約20頭のクマの居場所を調査。昨年は別荘地に進入したクマの追い払いを計134回実施したとか。人の住むエリアにほぼ毎日出没しているのに被害がないのは、ベアドッグの功績がかなり大きいと言えそうです。
レクチャー後は外へ出てエルフと対面。あいさつを交わして出発です。
3日前に降った雪の残る山道をゆったりペースで進んでいきます。
エルフは立ち止まってピンと耳を張ったかと思えば、
急に険しい坂を駆け上ったりと、優れた聴力と嗅覚を生かして、人では気付けない動物の些細な痕跡や気配を探ります。
「Stay(動くな)」
「Quiet(静かに)」
など、井村さんのコマンド(命令)にも忠実。クマの風下で匂いを察知したときは、自然と吠え立てますが、風上でハンドラーが先に気付いた場合は、吠えさせるコマンドを出します。
「Bark(吠えろ)」と言うか、グーにした手を目の前に近づけて吠えさます。私も体験させてもらいましたが、しっかり吠えてくれました。ただハンドラー以外のコマンドには従わないベアドッグも、中にはいるのだそう。
クマの上った木についた爪痕や、
ドングリを食べ終わった枝をお尻の下に敷いた熊棚も見学。約2.5km、1時間半ほどの散策を経て、スタート地点へ戻ってきました。
最初のレクチャーで「ベアドッグは人とクマの親善大使」と説明を受けました。「親善」を辞書で引くと「互いを知り合って、仲良くすること」とあります。両者が友好な関係を築くため、間に立って出合わないようにする親善大使もいるんですね。クマにきびしく人にやさしいベアドッグは、まさにその役割にぴったりだと身をもって実感したツアーでした。
ツアー「ベアドッグと歩く森さんぽ」は4月9日までの毎週日曜日に実施。前日15時までにピッキオのWEBから要予約です。