軽井沢駅東側に複合リゾート施設を計画 三重県の会社が説明会
2014年10月20日 15:12
しなの鉄道が所有する軽井沢駅東側の旧JR信越線鉄道敷に、ホテルやレストランなどが入った複合リゾート施設の建設を計画している「アクアイグニス」(三重県菰野町)が10月16日、初めての説明会を新軽井沢会館で開いた。地元住民ら約100人が訪れ、業者側に意見や要望を伝えた。同社の立花哲也代表取締役社長は「活気あふれる場所になるよう、町の人と一緒に盛り上げたい」と力を込めた。
説明によると、施設の建設予定地は軽井沢駅東側、旧JR信越線最初のトンネルの手前まで、約1kmにわたる。敷地面積は明らかになっていない。駅に近い方から「スイーツ」「産直マルシェ」「温浴」「ホテル」「レストラン」と5つのエリアにわけ、地上2建ての施設を建てる。
世界で活躍するシェフのレストランやパティシエのショップ、信越線のトンネル内に、ワインセラーを設置する計画もある。テナントの募集はせず、全て自社運営。信越線の既存の線路にトロッコ列車を走らせて、施設間の移動に使用する計画で、将来は横川駅まで延長する考えもある。
乗用車の駐車可能台数は未定だが、「トロッコ列車が走る場所以外の1階のスペースは、極力駐車場に充てる」としている。総工費は概算で30億円。年間の来場者は見込みで200万人。計画地の土地については「これから所有者側と協議する。買収する考えだが、賃貸でも進めたい」とし、順調に進めば、2015年夏に着工、2016年夏にオープンしたい考えを示した。
軽井沢駅東側の旧JR信越線鉄道敷では2007年、東京都の開発業者が17000㎡の複合商業施設の建設を計画。「景観上の問題、地元商店の衰退、交通渋滞の悪化」を理由に、地元住民や町議会が反対し、業者が計画を断念した経緯がある。この日、説明会に参加した住民からは「面白い計画だが、軽井沢の景観に合う建物になるか心配」「駐車場を十分にとって、渋滞対策もしっかり考えて」「会社の利益も大事だが、地元の商店、住民のことも考えて計画をしてほしい」といった意見や要望があった。同社は今冬中、2回目の説明会を開く予定でいる。
アクアイグニスは2005年創業。2012年10月、三重県菰野町に温泉、宿泊、飲食施設を備えた、会社と同名の複合リゾート施設をオープン。2013年は年間100万人の来場があったという。説明会には、三重県の施設に出店し、軽井沢のプロジェクトにも関わる、パティシエの辻口博啓さんも同席。「力のあるシェフ、パティシエと一緒に、軽井沢や長野の食材をPRしたい」と話していた。
(写真右上:10月16日の説明会。中央左:計画予定地の軽井沢駅東側の旧JR信越線鉄道敷。右下:事業計画より、施設全体の平面図。)