「ありがとう、さようなら」 しなの鉄道「169系」最後の走り
2013年04月29日 18:33
しなの鉄道の車両「169系」が、老朽化により4月29日の運行を最後に引退した。27日から29日は、軽井沢ー篠ノ井間で特別列車が走るなど、軽井沢駅を中心に様々な催しがあった。
169系は軽井沢ー横川間の碓氷峠の急勾配を走る列車として1968年に誕生。上野と長野を結ぶ急行「信州」、中央東線(甲府~松本)、篠ノ井線(松本~長野)など、県内を中心に使われた。他の車両は既に引退し、しなの鉄道が所有するオレンジと緑の「湘南色」2編成、赤とグレーの「しなの色」1編成は、最後の「169系」として、全国の鉄道ファンから愛されていた。
29日のラストランは16時20分軽井沢発、屋代行きで、169系3編成をつなげた9両の特別列車。発車の1時間前には、カメラを持った鉄道ファンでホームはあふれ、車両を描いた絵とともに「ありがとう、そしてさようなら」とメッセージボードを掲げている人の姿もあった。
ラストラン出発式では、軽井沢中部小学校吹奏楽部が「線路はつづくよどこまでも」「TRAIN TRAIN」など、列車にまつわる曲を演奏。しなの鉄道の藤井武晴代表取締役社長は「しなの鉄道の列車として169系が走った総距離は530万kmで、地球と月7往復に相当する。それだけ大勢の方々に親しまれたのは嬉しいこと」とあいさつ。
最後の169系に乗車するため、東京都より訪れた紅林正彦さんは「東海道線でよく乗っていた、思い入れのある車両。仕方ないのはわかっているが淋しい」と、鉄道ファンで満席の列車に乗り込んでいった。