辰雄ら滞在の旅館「油屋」 ギャラリーやカフェなど入り、生まれ変わる
2012年07月09日 13:46
辰雄ら多くの作家が滞在した追分の旅館「油屋」が、ギャラリーやカフェなどが入った施設「信濃追分文化磁 油や」として生まれ変わり、7月21日にオープンする。地元の経営者やアーティストらで設立したNPO法人「油やプロジェクト」が運営を担う。
旅館「油屋」は1688年に開業し、脇本陣を務めた。昭和に入ると、 辰雄や立原道 ら多くの作家が滞在し執筆を行ったが、2008年に営業を終了した。同旅館の隣りで古書店を営む斎藤尚宏さんが2010年、建物が売りに出ていることを知り、知人らに相談。資金提供者が見つかり、昨年5月に買い取って改修工事を進めていた。1978年に建てられた新館は、保存状態が良かったが、1938年建築の本館は、天井や床の傷みが予想以上 ったため、オープン後も平行して改修を続けていくという。
館内1階はギャラリーやブックカフェ、レコード店、骨董店などに貸し出され、地元の写真家や画家の活動スペースもある。本館2階の 辰雄が執筆に使用した部屋は、そのままの状態に残し資料室として展示。5部屋は 泊まりのゲストハウスとして活用する。今年の営業は11月4日まで が、3年後を目処に通年営業を目指す。
同プロジェクト理事長の斎藤さんは、「由緒ある建物を保存し活用することで、未来へ引き継ぎたい。人を惹き付ける企画を考え、町おこしにつなげられたら」と話している。