国際森林年の今年、森林について考えるシンポジウ 軽井沢でも
2011年08月23日 19:21
国連が定めた「国際森林年」に合わせ、町民らで作る実行委員会(実行委員長:土屋芳春軽井沢観光協会長)は8月21日、「軽井沢国際森林年記念シンポジウ 」を中央公民館で開き、町民ら約150人が参 した。第一部では東京大学教授の鬼 秀一さん、速水林業(三重県)代表の速水亨さん、NPO法人やまぼうし自然学 (上田市)代表理事の 々美貴代さんの3人それぞれが講演。第2部では藤巻進軽井沢町長を交え、パネルディスカッションも実施した。
鬼 さんは白神山地など、日本各地で人間と自然のあり方を調査し、現 に ざした環境倫理学を構築。講演の中で、茨城県霞ヶ浦南端にある浮島湿原を例に挙げ、「茅刈りや野焼きを行うなど人が管理しているのは今では湿原の中の一部 け。た そういう 所の方が生物は多様に見られる」とし、「生物多様性保全のためには、人の手を排して自然を保護するというより、人間が自然と関わって環境を管理していくという考えに転換していく必要がある」と述べた。
続いて講演した速水さんは、自社で行っている具体的な森林管理方法や、美しい森とはどういう森か、持論を展開。「経営として育てる人工林でも豊かな森は作れる」と話し、軽井沢町に対し「森林管理の 究を行うのと同時に、人が入れるよう森を整備し、軽井沢ブランドの木材利用を促すことなどを盛り込ん 『軽井沢森林宣言』をしたらどうか」と提案していた。
また、 々美さんは「やまぼうし自然学 」の活動について紹介。首都圏から小中学生らを受け入れ、炭焼きや自然観察会など50のプログラ による自然体験環境教育を行っていることや、森を案内するインタープリター養成にも努めていることを伝え、「人と森をつなげるのが私たちの役目。多くの方に森の 晴らしさを伝えていきたい」と話していた。
この日、聴講に訪れた神戸市の山下道子さんは、夏の間訪れる武石村(現上田市)の山荘近くで、混合林を作る活動をしている。「森林管理の話は大変参考になった。豊かな森を作るのと同時に、シカやイノシシなどの野生動物とどう向き合っていくか考えることも大事なこと」と話していた。
実行委員会ではシンポジウ に続き、国際森林年記念事業として8月27日に「自然観察ツアー」、9月11日に「国有林整備体験林業」を開催する。
TEL090-5587-5377(軽井沢野生動物問題 究会クロス)